初めての体験 Asid 49 - 50
(49)
ボクは、社の側に膝をついて、その身体を起こした。ボクに寄りかからせるようにして、
身体を支える。紙袋をたぐり寄せる。さっき、おもてで買ってきたモノが入っている。
社は、ぐったりとボクにもたれ掛かっていたが、ボクが取り出した物を見て不思議そうに呟いた。
「それ…包帯…?そんなん…どないするん……?」
もちろん手当に使う訳じゃない。社もそんなことを期待してはいないだろう。
その白く弾力性のある布を、社の切れ長の目にあてがう。
「あ…何するんや…やめてぇや…」
抗議の声を無視して、包帯を巻いていく。そうして、社の視覚は完全に封じられた。
身体の自由が利かない上に視界を塞がれ、社はかなり動揺していた。それが、身体を
通して伝わってくる。それに、まだ包帯を弄る音が彼の不安を余計に煽っているのだろう。
社の唇は白くなっていた。シュッと布を扱く短い音が、社の耳にはどんな風にきこえて
いるのだろうか。
ボクは、社の両手首を取ると、前で交差させて包帯で堅く縛った。
「なぁ…なんで…」
社が、ボクに問いかける。ボクは、そのうるさい口も包帯で塞いでやろうかと思った。が、
喘ぐような社の関西弁が意外と色っぽかったので、そのままにしておくことにした。
(50)
社をゆっくりと畳の上に寝かせた。改めて全身を眺める。…………………いい感じだ。
見た目もコレでばっちりだ。包帯で目隠しをされる進藤を想像して、ドキドキした。
社の首筋をゆっくりと撫で上げた。その途端、彼の身体が大きく震えた。身体が動かなくても、
一応感じてはいるらしい。効き目が少し薄れて来たのかもしれない。反応がないより、
あった方が楽しいので、コレはコレでかまわない。
ボクは調子に乗って、いろんなところを触りまくった。その度に、社が小さく喘いだ。
「はぁ…!い、いややぁ…」
身を縮めようとする社を妙に可愛く感じて、ボクの方が狼狽えた。
「社、可愛いね…もしかして、初めて?」
社は否定も肯定もしなかったが、こんな目にあわされたのは、初めてなのに違いない。
答えない社の肩の近くに、スタンガンをかざした。触れるか触れないかのところで、
バチバチと火花が散った。
「!!」
直接触れてはいないはずだが、彼は身を竦ませた。やはり、視覚を奪われると恐怖心も
倍増するらしい。
「ボクは、素直じゃないヤツは嫌いだ…言っている意味わかるよね?」
優しく囁いた。笑顔のオプションもつけたが、社に見えないのは残念だ。
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