Birtday Night 5
(5)
驚いて見つめ返すボクに、
「忘れるわけないじゃん。塔矢アキラが生まれた日なんだぜ。オレにだって大切な日だよ」
にっと笑った。
胸が、痛くなった。ふいに涙がぽろり、ボクの瞳からこぼれおちた。
そんなボクを見て、進藤がビックリして声をあげた。
「え!?あ!と、塔矢!!?」
次から次へと涙がこぼれていく。
「…あ…れ…ボク…どうしたんだろ…」
何故、泣いているんだろう。
悲しいことなんてないはずなのに、どうして……。
自分自身に戸惑っていると、
「…塔矢」
ふわり。空気が動いた。進藤に抱きしめられる。
「――」
いつもなら、こんなことされたくないのに。
ふざけるな!って、その腕を振りほどくのに。
ボクは進藤にされるがまま、その胸に頬を寄せた。
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