検討編 5
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「あっ、進藤、」
性急過ぎるヒカルの動きに、アキラの頭の中で警戒警報が鳴る。
「ダメ、だ…進藤、」
「…どうして……」
「だって、こんなの…ダメだ……」
「そんな、こと…、」
そう言いながら、ヒカルの手は更に奥へと侵入してアキラの身体を探り、またアキラの唇を塞ぐ。
そこから逃れようとアキラは頭を振り、流されそうになる思考を必死にとどめようとする。
「だ…って…」
だって、今、ここにいるのは、そのためじゃない。そう。ここにいるのは、
「進藤、検討…」
アキラは必死にその単語を搾り出した。
「…検討?」
今更、なんでそんな単語がここで出てくるんだと言いたげに、ヒカルが聞きかえす。
「検討、しようよ、そのために…」
その為に、ここに来たんじゃないか。
「そん…な、そんなの、……もう、ダメだ。もう、止められない。止められないよ、オレ…」
アキラの背を探っていた手がぐっとアキラを引き寄せる。
「塔矢…ダメ……?」
そんな目で、見るな。
そんな風に見られたら、そんな声で囁かれたら、ダメだなんて言えなくなる。
流される。飲み込まれる。
それにもう、ボクの中にだって熱は滾って、溢れ出そうで、こうして自分を保っているのがやっとだ。
そうして服の中を這い回るヒカルの手に身を竦ませながら、アキラは必死に意識を繋ぎとめようとした。
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