嘆きの少年王 5


(5)
「お、オガタン、そんなに怒るな…!」
アキラ王はなんとか、オガタンをなだめようとした。
「そんな、あなたがそんなに放置されている筈はないだろう?
そうそう、番外編もあったはずだ。そう、このボクに相応しく、番外編のトップバッターを
切って登場した、ボクの小学生時代の話だ。当然あなたも出ていただろう…?」
「あなたという方は…!」
オガタンは怒りと悲しみに絶句した。
アキラ王にはオガタンの悲しみの意味がわからず、きょとんと目を丸くしてオガタンを
見つめた。その愛らしい、罪の無い表情がオガタンの心の奥の獣性を目覚めさせた。
「あなたという方は、本当に興味の無い事は覚えていらっしゃらないんですな。
磯部秀樹くんの名前を忘れただけではなく…」
オガタンはアキラ王ににじり寄って、王の華奢な肩を掴んだ。
「クックックッ…私があなたにとってそんなに意味の無い存在だったとはね…」
尋常でないオガタンの様子にアキラ王は怯えて、あとずさろうとした。
だがオガタンはそんなアキラ王の様子などものともせず、アキラ王の身体を引き寄せ、
耳元でそっと囁いた。



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