pocket-sized Xmas 5
(5)
「アキラたん・・・!アキラたああああああん!!!」
「・・・はよう、ぼくムーミン!いいかい、三つ数えるうちに起きるんだよ。
いーち、にーぃ、さんっ。起きろ!」
ジリリリリリリリリリリリ
・・・はっ。
頬の上を流れ落ちて行く涙。
喧しく鳴り響くムーミンのアラーム。
バッと枕元に目を遣ると、昨夜置いた片っぽだけの紺色の冬用靴下があった。
その中に、小さな膨らみ。
アラームを黙らせて、恐る恐るその膨らみを指で撫でてみる。
「アキラたん?」
「ん・・・」
膨らみが微かに動く。アキラたんの声だ。
心底ホッとして涙と鼻水をティッシュで拭い、靴下ごと手に取って中を覗き込む。
「アキラたん・・・朝だよ。メリークリスマス!」
「あ・・・おはようございます・・・」
目をこすりながら、寝袋みたいに俺の靴下の中で寝ていたアキラたんが
モソモソ這い出してきた。
俺の掛け布団の上にぽふっとダイブして、それから自分の体と、
今まで自分が入っていた靴下と、俺とを何度も見比べている。
「英治さん、今日ってクリスマスですよね・・・」
「うん、そうだよ」
「・・・そうですよね・・・」
アキラたんはふうーっとアキラたんにしては精一杯大きな溜め息をついて、
力が抜けたようにくてっと転がった。
それから少し目を閉じて、暫くしてから開いて、やっといつもの笑顔を見せてくれた。
「英治さん。・・・おはようございます」
俺も笑顔を返して、おはよう、と言った。
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