Shangri-La第2章 5
(5)
―――誘われている。
緒方は、はっきりそう感じていた。
海が見たいと言われて何となくそう思った。
部屋へ連れてきて、それが確信へと変わった。
緒方はそっとアキラの頭に手を乗せた。
安全かつ確実にアキラを落ち着ける方法は、これしか知らない。
最近のヒカルの噂は聞いている。
もともと、他人に関する噂とか情報の類には興味が薄いこともあって、
かなり疎いと自覚していた。そんな緒方ですら耳に入る位だから、
かなりメジャーな話に違いない。
大方、ヒカルはアキラを放っておいてそちらに夢中になっているのだろう。
そしてアキラはアキラで、空いた身体を持て余している…
とまぁ、そんな所だろうか。
|