バレンタイン 5


(5)
「ち、ちがうよアキラたん」
カウンターを挟んで、俺は蛇に睨まれたカエルになった。このチョコレートは店長の奥さんから
もらった義理チョコで、決して俺への恋情が込められたものではないのだ。
だって、たしかこれは309円のチョコだし。
だが、やきもち焼きのアキラの目にはそうは映っていないらしい。アキラは唇を噛み締めると
床においていた紙袋を手にとり、重そうによたよたと自動ドアに向かっていった。
「これは義理だよ!」
「どうだか……!」
俺はカウンターから抜け出すと、アキラたんの肩を掴み、重そうな紙袋を横から取り上げた。
「本当だってばアキラたん」
案の定、その紙袋の中にはぎっしりと派手な包みが入っている。
金銀赤青緑黄色黒。頭の中がハーレーションを起こしてしまいそうだ。
「…じゃあアキラたんは、その数だけ告白されたんだ? アキラたんに告白する奴ってどんな奴?」



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