残像 5


(5)
それでも―
それでもやっぱり、キミの中にいるsaiは、どうしようもなく、気になるよ。
だってボクはキミが好きだから。
ボクの腕の中でキミが呼ぶひとの事を、気にせずになんか、いられない。
ボクは、いつかキミの中のsaiを、超えられるのかな。
キミにとって一番大切な人に、いつか、なれるのかな。
今のボクにとって一番大切なのはキミだけど。
キミにも同じように思って欲しいと思うのは、贅沢なんだろうか。


アキラはヒカルの寝顔を見つめて、ヒカルの目元に滲んだ涙を吸い取るようにそっとくちづけ、
それから唇でヒカルの唇を包み込むように、静かに触れた。
「ん…」
眠っているはずのヒカルの唇がアキラに応えて、柔らかく舌を絡めてきた。
(進藤?)
だがヒカルは目覚めたわけではないようで、アキラが唇をはなすと、また静かな寝息を立てて
安らかに眠っていた。その寝顔は、今度は安心したような笑みを浮かべていて、アキラはなん
だかほっとすると同時に、少し悲しくなった。
さっきは、泣きそうな顔をしてたのは進藤なのに、どうして今はボクが泣きたいんだろう。
キミに、そんな安心した顔をさせるのが、ボクだったら良かったのに。
アキラは自分の心を抑えるように、手で顔を覆った。



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