性の目覚め・12才ヒカル 5
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――ヒカルがそんな子だとは思いませんでしたよ!
初めて出逢ったその時は、何て可愛らしい少年なのだろうと思ったものだが…こんな
下品なものを見て喜ぶところがあるなんて…。
膝を抱えてブツブツと文句を言っていたのは数分間程度だろうか。
ふと気が付くと、ついさっきまでうるさくしていたはずのヒカルが静かである。
――ヒカル?
ひょい、と後ろから覗き込んでみると、ヒカルはその気配に驚いたようにビクッと顔
をあげた。ほんのり上気したような表情は、佐為も初めて見るものだった。
――どうしたんですか、ヒカル?
「あ…、あの…よくわかんないんだけど…」
両膝を擦り合わせるようにして動かし、もぞもぞと落ち着かない。
「何だか身体がムズムズする…」
少し熱っぽく潤んだ大きな瞳が佐為を見上げ、視線が助けを求めるように泳いでいる。
「佐為ぃ…オレ、どうしちゃったんだろ…」
下腹部を押さえるようにして前屈みに身体を折り曲げ、肩越しにちらりと視線をよこす。
その煽情的な眼差しに佐為はハッとした。
この純粋な子供には、生まれて初めての衝動なのだ。何故こんな気持ちになるのか、
そしてこのもやもやしたこの感触をどうしたらいいのか。それらが全て分からないのだろう。
普通ならば自分一人で解決してゆくものなのだろうが、ヒカルは無知故に佐為に縋って
しまっている。
さて、どうしたものやら…。
佐為が思いをめぐらせていると、うずくまっていたヒカルが急に起き上がって叫んだ。
「うわ―――ッ!オレのチンコおかしくなってる――!!!佐為〜〜〜!!」
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