heat capacity 5
(5)
「塔矢ぁ……」
進藤が僕に覆い被さるようにしてしがみついてきた。
僕の顔のすぐ横に頭をことんと置いて、ねだるように擦り付けてくる。
さらさらとした明るい髪が、僕の視界の隅で揺れた。
「ココ?」
少し強めに陰茎を握り込む。
「うぁ…っ」
進藤は痛みに顔を顰め、身体を退いた。
両手が使えないのは不便だ。僕は洋式の蓋の上に足を乗せて、その足で抱え上げていた進藤の足を固定した。そして開いた手で逃げかけた上半身を引き寄せる。
そして陰茎を握っていた手は先から零れている液体を指に絡めて、何度も擦り上げる。
「やめ、……あ、…っん……や、…だ……」
「嫌? 嘘ついちゃ駄目だよ、進藤」
弱々しく首を振る進藤は、可愛い。身体が理性を裏切っている時の進藤が僕は一番好きだった。
手を根元へと滑らせると同時に、愛撫を施しているうちにすっかり馴染んだらしい内部を突き上げた。
「………っは、ぁんっ」
大きく仰け反った進藤の、綺麗な首筋が露になる。彼を形成する曲線はすべて綺麗に見える。何もかもが、綺麗で、可愛くて、愛しい。
「これでも、まだ、さっきの事が忘れられない?」
言いながら前立腺を刺激し続ける。
「あっ、や、…やんっ………そ、こ……やぁ……っ」
「進藤、答えろよ」
自分らしくないと思った。進藤の温かさに包まれて、いつもならとっくに理性も何もなくなっているだろうに、どうして僕の頭の芯はこんなに冷めているんだろう。
僕はこんなにも嫉妬深かったのかと、妙に感心……いや、納得してしまった。
進藤は虚ろに瞳を開けたまま、額を僕の肩に預けていた。
僕がその華奢な身体を揺さぶる度に地面にぽたりぽたりと涙が零れていた。
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