heat capacity2 5


(5)
俺だって強いやつと打つのは楽しい。
でも、俺がここまでこれたのは佐為と、そしてなにより塔矢が居たからだ。
佐為が引き上げようとしてくれても、俺に塔矢と言う目標がなければ俺はここまで来ら
れなかった。そしてまた塔矢が居たとしても、佐為という師がいなかったら、きっと俺
は塔矢に追い付く事は出来なかった。
俺は塔矢が好きで、佐為も大好きで。塔矢に感じるものと佐為に感じる『好き』は異質
なものだったけど、どちらもかけがえがなく、秤に掛けられない大切な存在。
塔矢は俺を好きだといってくれるけど、それはもしかしたら佐為の事かも知れない。
そして、佐為はもういない。
塔矢が俺の中の佐為に惹かれて好きになったんだとしても、今となっては関係ない。
……そう思い込みたいだけかも知れないけど。
だってあいつは…塔矢は……、佐為はいなくなっちゃって、俺の碁の中にしか、残って
くれなかったけど、それでもいいんだって……。佐為もひっくるめて、『オレ』なんだっ
て……そう言ってくれたから、オレは嬉しくて嬉しくて。
好きだって言われた時も、ただ『自分』が求められる事が嬉しくて頷いた。
どんな理由でも良かったんだ、あいつが欲しかった。オレの事が必要なんだと言ってく
れるあいつが。



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