平安幻想異聞録-異聞-<水恋鳥＞ 5

(5)
佐為は片手でヒカルの単衣の前をはだけさせ、自分も着物の前をはだけ、直接肌を
触れ合わせて体を重ねた。
自分の胸に直に触れるヒカルの乳首が腫れたように熱を持っているのがわかった。
ふぐりと後腔の丁度中間あたりを佐為が指の腹で押すたびに、ヒカルが甘い声を
漏らす。
熱い皮膚を合わせ、互いの熱を分けあいながら、佐為は、ヒカルの蟻の戸渡りの
あたりを嬲っていた指をそろりと後ろの門の入り口に沿えた。
「う、ん……」
そのまわりから中心に向かって、押したりさすったりしてほぐしてゆく。武官と
しての鍛練を怠らないせいだろうか、ヒカルのそこは、少し日にちをおくと、
すぐに筋肉が引き締まり口を閉じてしまうのだ。まるで初めてではないのかと
思わせる弾力のそこを、佐為の指がじっくりとねぶり、硬い蕾が咲きほころぶのを
待つ。まずはほんの指先から侵入させ、掻き回し押し広げるようにして、最初の
関節まで、次には第二関節まで。そして、最後にその細い白魚の指が一本、
根本まで侵入すると、やわやわと、指を中で回転させ、内壁を甘く刺激する。
「あん……、ぁ、……あんっ……」
身をよじるヒカルを押さえ込んで、佐為はもう片方の手を背筋の骨に沿って
往復させる。
その佐為の愛撫がいつもと違うことに、ヒカルが気付くのに時間はそうかから
なかった。
「佐為……、ぁ、あ、ちゃん、と……」
背をさする佐為の手も、中を嬲る佐為の指も、いつまでたっても、ヒカルが一番
感じるところには触れてこない。
ヒカルの声が切なげに高くなって、自分でより強い快感をえようと、その手が
自身の中心に延びた。
それを佐為が制止する。信じられないという顔で見上げてきたヒカルのまぶたに
口付けして、その瞳を閉じさせ、そのもどかしい愛戯を続行する。
切なげな声が更に途切れなく、庵の中の初夏の大気を打つ。
ヒカルの中の肉が、佐為の細い指では足りず、もっと重量感のあるものを求めて
蠢いているのがわかったが、それでも佐為は、その指を増やすこともせず、ただ
時折、爪先で、ヒカルの一番感じる壁の部分をはじくに留めた。