守って!イゴレンジャー 5
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「売店より業務連絡!棋院ロボ出動の為、建物の7階から上にいる職員は直ちに全員退避!」
ジリリリリリリリリ──取るものも取り敢えず、我先にと6階へ避難する職員たち。
やがてカウントが始まる。
「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ。
日本棋院が二つに分離し、7階から上がジェットの力で持ち上がる。
以前は日本棋院の建物全てがロボットだったが、
それでは院生研修や手合いに影響がでるので、昨年から上の階のみを
変形させるように改造したのだった。
足りないパーツは関西、中部、あとは戦いの舞台である地域の支部から
借りる事になっている。
「来たわ!」
ずどーん。
日本棋院だけが知っている特殊な技術で、見事な巨大碁笥に変形した
棋院ロボが、負け犬寸前なイゴレンジャーの前にやってきた。
「おいおい、アキラ君。いくらオレがビッグサイズだからといって、
巨大化までは無理だぜ?」
さほど慌てた様子もなく、オガタンはアキラを振り返る。
「わかってます。こちらは“あの者”で対抗しましょう。出でよ、精霊!」
アキラが呪文を唱えると、手の平サイズの精霊、アシワラーが現れた。
「なんだよアキラ〜、手合いのない日は呼び出さないでくれっていったろ〜」
「精霊のクセに文句を言うな!契約してるんだからちゃんと働け!
アシワラー、お前の魔法で“あの者”を巨大化するんだ!」
「“あの者”?城で留守番してるアレのこと〜?」
「……オレはあんまり見たくないがな」
「あれ、オガタンもいたんだ、休日出勤大変だね〜」
アシワラーは背中の羽根を羽ばたかせ、オガタンの周りを低空飛行する。
「少年帝王には逆らえないからな。…オレの主は今も昔もアキラ君だけだ」
「サラリーマンはつらいよね〜」
「アシワラー!!」
「わかったわかった。やればいいんだろ〜」
謎の精霊アシワラーは一体何を呼び出すつもりなのか?
クライマックス直前!!好手戦隊・イゴレンジャー!!
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