禁断の章 5
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「進藤!」
和谷はヒカルを見つけ駆け寄った。
ここ最近進藤の様子がおかしい。明るい奴なのに何故か沈みがちで無理して
俺達に話を合わせ一人の時は、深刻に思い詰めた顔をしている。
塔矢と何かあったかと思ったが、塔矢と進藤をみると
塔矢が原因ではないらしい。
変といえば、頻繁に進藤の側に越智を見かけたことだ。
あいつらいつの間に仲良くなったんだ?
ヒカルの親友を自負する和谷は、ヒカルと越智の接点が見つけられず
はてなマークでその光景に目を見張った。
「まあ、碁に影響がないとこみるとあまりたいしたことはないだろう」
以前のヒカルは、突然碁を打たないと宣言し手合いを休んだ。
なにが原因でそうなったか和谷は結局ヒカルから話を聞くことはなく、
和谷も訊かなかった。
解決はしたが進藤のあの様子はただごとではなかった。
ヒカルが立ち直ってくれて嬉しかった。
でも本当は何があったか話してほしかった。だって水くさいじゃないか。
オレ達 親友だぜ!?
だからまた何か悩みがあるんだとしたらこんどこそ力になりたくて
オレは進藤に声をかけた。
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