恋 Part 4 5
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それだけじゃない。
全身で僕にしがみつく腕。
離さないと言いたげに、背中を抱いてくれる進藤の掌の熱は、僕を惑溺した。
繋げた器官と器官が馴染むまで、僕たちはじっと抱き合っていた。
重ねた胸で固く勃ちあがった乳首が、擦れ逢うだけで僕はしびれるような快感に我を忘れた。
本能のまま、彼を犯したいと思うことも多々あった。
だけど、それよりも彼と抱き合い、耳元で彼の熱い呼吸を数えていることが嬉しかった。
進藤は、繰り返し囁く言葉があった。
『俺の中に、おまえがいる』
その事実を確かめるような進藤の言葉は、僕の中の熱を際限なく煽った。
『おまえが、俺のなかで脈を打っている』
それは僕も感じることだった。
僕は僕で、進藤の脈を昂ぶる器官で感じていた。
それは夏の波を思わせる熱いうねりだった。
『おまえは生きているんだな』
僕はその言葉に励まされ、ゆっくりと動き出す。
同じ時代に生まれ、こうして巡り合う事のできた幸せを噛み締めながら、僕は進藤と体を交わす歓びを貪った。
だが、そうして幸せに浸っていられたのは、そう長いことではなかったんだ。
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