社妄想(仮) 5
(5)
「まだ試した事なかったやつなんやけど……思ってたよりは効きがいいみたいやな」
頭の上で聞こえる筈の社の声が酷く遠かった。
全身が悲鳴を上げるように疼く。
ヒカルは『その感覚』を知っていた。
だが、今までに与えられたそれは、ヒカルの身体の自由を奪うような、そんな危険なものではなかった。
初めは気持ち悪いといって泣いて拒んだその感覚を、『彼』は根気強くゆっくりとヒカルに馴染ませてくれた。
ヒカルには、つい最近まで『快感』というものが良く解らなかったのだ。
けれど、今与えられているそれは、そんな優しいものではない。
ヒカルがぎゅっと目を瞑ると、涙が地面に染みを作った。
不意にヒカルの頬を社の指がなぞった。
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