断点 5 - 6
(5)
「とう、や、」
呼びかけながら身体を起こそうとしてついた手を、足ではらわれて、オレはまた転がった。
そして、塔矢はゆっくりかがんでオレの顔を覗き込んだ。
「塔矢、」
きっとオレの声は泣き出しそうに情けなく震えていたと思う。
「ゴメン、オレ…」
言いかけた所を、また平手打ちされた。それからオレの身体をうつ伏せに倒して、肩を押さえ込むと、
手がズボンに伸びベルトを外そうとしした。
「やめろっ、塔矢、何すんだ…っ!」
オレは必死にそれに抵抗しようとした。だがオレが叫んだり、ばたばたと足を暴れさせてるのなんか
全然気にもかけられなかった。あっという間にオレはズボンも下着も脱がされ、上半身はまだ服を着
ているのに下半身だけをさらけ出されてしまった。
「いやだっ!やめろっ!…あっ!」
暴れるオレを押さえつけるように、急に、アレをぎゅっと握られて、オレは声を飲んでしまった。
一気に身体が固まった。
恐ろしかった。声を出す事も、動く事も出来なかった。背後にのしかかる塔矢がもの凄く怒っている事
だけはわかって、これから何をされるのか、怖くて、オレは息をするのも怖かった。
オレを握りこんでいた塔矢の手が、オレのモノを弄るように動き始めた。
「や、やめろ、何すんだ、」
(6)
「動くな。」
冷たい声でピシリと言われてオレは動きを止めた。
いやだ、そう思うのに、塔矢の手がオレに触っていると思っただけで頭がクラクラする。怖いのと
気持ちいいのが混ざって、オレは混乱した。
「…やめて、塔矢、」
オレが泣きそうになりながら必死で懇願すると、
「やめて欲しいの…?」
突然、息を感じるくらい近くで声がして、オレは背筋がゾクリとした。それだけじゃなくて、塔矢の
手の中のオレもビクンと同じように動いた。
多分それを感じて、塔矢がオレの耳元で可笑しそうに笑う。
こんな風にからかわれて悔しいはずなのに、オレの分身は浅ましく塔矢の手に、耳にかかる塔矢
の息に、感じてしまっている。それを知って更に嘲るように塔矢の手が動き、あっという間にオレは
塔矢の手でイかせられてしまった。
怖いのか悔しいのか情けないのかよくわからなくて、でも身体が震えて、涙が浮かんできた。
「とう、や、」
恐る恐る振り返って、塔矢の顔を仰ぎ見て、オレは背筋が凍る思いをした。
無表情な顔が、オレの視線を捉えて、口元だけで冷たく、嘲るように笑った。塔矢のその冷たい笑
みはゾッとするほど恐ろしくて、そして心が凍りつくほど綺麗だった。
あの時の塔矢の顔をオレは今でも忘れられない。
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