○○アタリ道場○○ 5 - 6


(5)

確かに碁を究めようとすれば、毎日が修行のようなものだと思います。
それに長時間の正座は、腰に負担がかかるのも確かです。
緒方さんのセリフには、本当に つくづく考えさせられます。
さすが緒方さんだなあと思いました。

・・・・・・・ああ お父さん。
ちょうど今、進藤が寝ながらホテルの部屋からゴロゴロと音をたてて
勢いよく廊下に転がってきました。
そして階段からドカドカと落ちています。←現在進行形
また、社の部屋から
「はもяもおおお%う?おぉぉжGあああぁぁほが――――――――――――――!!!!!!」
という雄たけびが聞こえます。
寝言のウルサイ奴です。

はあ・・・、またボクは見なくてもいいものを見てしまいました。
眼前で、中国チームのメンバーがコマネチをしながら廊下を横切って
います。
さらに今度は、韓国チームのメンバーがレストランのテーブルの上で
生け花を始めました。
・・・ホント、疲れます・・・・・・。



お父さん・・・・・・、もう春ですねぇ・・・・・・・・・。
(おかっぱの国から2003・春 おわり)


(6)

<お袋おかっぱノ巻>

「じゃあ行ってくる。戸締りは、気を付けるんだぞアキラ」
「アキラさん、後は お願いね」
「はい分かりました。いってらっしゃい、気をつけて」
日の落ちた夕方、行洋と明子は邸宅前の道路でタクシーに乗り、韓国に
行くため空港に向かった。
おかっぱは それを見送ると邸宅に戻り、居間で1人お茶をすする。
「あっ、そうだ。お母さんに頼まれていたことしなくちゃ。
もう、夕食時だし丁度いいや」
湯飲みを台所の流しで洗いながら、おかっぱは ある物に目を向ける。
その視点先にあるのは、古ぼけた一つの壺。
壺の上に置いてある板を取ると、中は ぬか床になっている。
塔矢家では食卓に漬物は欠かせない。このぬか床は、明子が結婚した時に
持ってきた物で、明子の実家秘伝とされる門外不出のぬか床だ。
そのぬか床は、すでに百年を経過していると言われ、漬ける野菜は極上の
ぬか漬けになる。まさに美味しんぼにも登場しそうな極上で究極のぬか床。
留守を預かる間、明子から おかっぱは「ぬか床コネコネ係」という塔矢家
食卓事情を左右する重大な使命を任される。
おかっぱは腕をまくり、「よっこいしょ」と、壺の前にしゃがみ、ぬか床
を右手でかき回し始める。
ぬかは毎日手入れをしないと、美味しいぬか漬けが作れない。
ぬか床をこねていると、幼い頃の記憶が おかっぱの頭に浮かんできた。
おかっぱは幼少時、明子と一緒に このぬか床に野菜を漬けた時、ぬかを
泥と間違え、お団子を作ったこともある。



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