S・W・A・N 5 - 6


(5)
ハッと目が覚めると、全身に脂汗をかいていた。
隣を見るとアキラが満ち足りた美しい寝顔で安らかな吐息を立てている。
今宵、ベッドの周囲にはムチやピンヒールや蝶々を模した黒い仮面が転がっていた。
たまにはこんな趣向もと思って緒方が用意したSMセットが気に入ったらしく
今日のアキラはその手のプレイが初めてとは思えない一流の女王様っぷりを魅せてくれた。
縛り上げられムチ打たれた背中がヒリヒリと痛むが、
その後で黒い網タイツにガーターベルトなどというマニアックな格好をしたアキラに
いい思いもさせてもらったし、などと寝顔を見ながらついニヤケそうになった瞬間、
下腹部をキリキリと突き上げる鈍い痛みがあった。

慌ててベッドを抜け出しトイレに駆け込む。
背後でアキラが「ん・・・」と寝返りを打つ音が聞こえた。
思い起こせば十数年前、師匠の家でトイレに籠もっていた時
幼いアキラがいきなり鍵の掛かっていないドアを開けて乱入してきたことがあった。
当時トイレトレーニングが済んだばかりだったアキラは、すっかりお兄さんになった
気分だったらしい。
自分が母親にされていたのと同じように便座に腰掛けた緒方の膝に小さな手をかけ
ニコニコと励ましてくれるアキラの前で、緒方は出る物も出なくなってしまったのだ。
あの時の思い出と今日の珍しいプレイと、たまたま起こった便意とが混ざり合って
あんな奇妙な夢を見てしまったのだろう。


(6)
便座に腰掛けほっと力を抜いて、あの悪魔的な衝動を半分ほど外へと押し出した時
いきなりガチャッとドアノブが回りかけた。慌ててノブに取り付き抑える。
鍵を掛けると、向こう側で残念そうにカリカリカリ・・・とドアを掻く音が聞こえた。
相手の姿が見えないことで身も凍る恐怖を感じた緒方は恐る恐る聞いた。
「・・・アキラ君か?」
「他に、誰がいるって言うんです」
ほっと息をつきながらも緊張は解けない。こういう時は一人になりたいものなのだが。
「向こうに戻って少し待っていてくれ。すぐ空けるから」
アキラも夜中に目が覚めてトイレを使いに来たのだと思った。
だがよく考えてみれば隣で寝ていた自分が消えていてトイレの電気も点いているなら、
自分がここに入っていることはわかりきっているはずだ。
それを承知でアキラはドアを開けようとしたのだろうか?
嫌な予感は的中したらしくアキラがドアの前から立ち去る気配はない。

「アキラ君、そこにいられると落ち着かないんだ」
懇願するように言った。
アキラはクスクス笑って脅すようにまたドアノブをガチャリ、と鳴らす。
開かないと分かっていてもドキリとする。
出かかった物は半分は体外に中途半端に出、半分は途中で引っ込んでしまっていた。



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