ウェルシュ・コーギー 5 - 6


(5)
それからしばらくは仕事やら研究会やらが立て込んで、
塔矢の家に遊びに行くことができなかった。
二週間ぶりにやっと暇ができた。
塔矢の家に電話すると、まだ両親も中国から帰ってきてないし遊びにおいで、と言われた。
「ポチ」もだいぶ懐いて可愛いよ、とも言った。
オレはあのちょこちょこ歩く可愛らしい姿を思って嬉しくなった。

塔矢家の玄関をくぐると、廊下の向こうから茶色の子犬が走ってきた。
「ポチー!ひさしぶり!!」
ダッシュでオレの腕の中に飛び込んで来た「ポチ」を抱き上げた。
「ポチは進藤がよっぽどお気に入りらしいね」
「オレ昔から犬には好かれるんだ!」
「ふうん。キミは子犬みたいだものね。きっと同レベルと思われてるんだよ」
と塔矢は笑った。
「何だとー!犬はな、心の綺麗な奴がわかるんだよ!
なーポチ。こんな何考えてるかわからないおかっぱよりオレの方がいいよな?」
「アン!」
ポチが元気良く答えた。
あれ?…普通だったらここで「何だと!?」と食ってかかるはずの塔矢が
まだニコニコ笑ってる。おかしい。
本当に何考えてるかわからない奴だな。ま、いっか。


(6)
それから塔矢ん家の庭でポチと遊んだ。
ピンクのビニールボールを投げてやると一生懸命追いかけて
またこちらへところころ転がして戻ってくる。
そしてまた「投げて」と催促するように「アン!」と鳴いて見上げてくる。
なかなか賢い犬だ。
ひとしきり遊んだ後、塔矢の部屋でこの間の手合の検討をしたり、
他愛のない話をしたりして過ごした。
その間もポチはオレたちにまとわりついて遊んで離れない。
「子犬は元気だな〜」
「そうだね。飼い始めてボクもびっくりすることばかりだよ」
また検討に熱中し始めるてふと気がつくと、
さっきまで走り回っていたはずのポチが、縁側の日当たりのいいところで丸くなって寝ていた。
「ははは、猫みてェ」
「寝て食べて遊ぶことが仕事だからね。人間の子供と同じさ」
「かわいいな〜」
そのあどけない寝顔をうっとりと見ていると、横から塔矢の視線を感じた。
「何?」
「いや…可愛いなあと思って」
「だろ?」
「いや、犬じゃなくてキミが」
「はぁ?!」
突然何を言い出しやがる。コイツは。
耳まで赤くしながらオレは抗議した。
「そ、そーゆうことは言うな!」
「何で?思ったことを言っただけだよ」
「だからそれがヤなんだよ!思っても言うな!恥ずかしいだろ!」
「…照れなくてもいいじゃないか。誰もいないよ?」
「!!!」
もうダメだ…コイツには何も通じない。
オレはがっくり肩を落して項垂れた。



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