ウィロー 5 - 6


(5)
オレは、ういろうをその愛らしい舌の上にちょこんと乗せた。
それを器用に奥へと運んでいく舌から目が離せなかった。
「ん・・・あま・・・」
ヒカルタンの唇の動きから、もちもちとした触感が伝わってくる。
「も、一個ちょうだい」
あーんと、口を開けた。
ヒカルタンは、無防備に口を開けたまま、ういろうを待っている。
「・・・早くくれよぉ」
目を閉じたまま催促する。
ういろうのことだとはわかっているが、別のものを思い浮かべてしまったのは
オレの心が汚れているせいだ。
はあはあはあはあはあはあはあはあ・・・・・・・・・・
ヒカルタン殺生だよ。

―――――――ぷちっ

どこかで何かが切れたような音がした。
とうとう、オレは、ういろうの代わりに自分の唇を押しつけてしまった。
「ん・・・」
抗うヒカルタンの顔を両手でしっかりと押さえ込み、無理矢理舌を口の中に押し込んだ。
あま――――――――――――――――!
ヒカルタンとのキスは例えようもなく甘かった。
絶対、ういろうの味なんかじゃない!
オレは、そのままヒカルタンを押し倒した。


(6)
ヒカルタンはオレの腕の中で、手足をばたつかせている。
オレは、その華奢な身体をますます強く抱きしめて、動きを封じようとした。
と、そのとき、こめかみに衝撃が走り、一瞬目の前が真っ白になった。
「――ってぇなぁ!」
ヒカルタンは、オレのこめかみにヒットした拳を痛そうにさすった。
そして、オレを乱暴に突き飛ばすと、
「ういろう食べてからだって言っただろ!バカ!節操なし!ヘンタイ!」
と、怒鳴った。
「ゴ、ゴメンよ・・・ヒカルタン・・・」
「も〜せっかくのういろうが台無しじゃんか・・・」
オレが飛びかかったときに、放りだしてしまったういろうを皿に拾い集めた。
「もったいない・・・」
「ゴメンなさい・・・」
シュンと項垂れるオレの頭をヒカルタンは、軽くぽかりと叩いた。
「バカ・・・」
ヒカルタンは溜息を吐いて、オレの頬にチュッとキスをしてくれた。



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