○○アタリ道場○○ 5 - 7


(5)

確かに碁を究めようとすれば、毎日が修行のようなものだと思います。
それに長時間の正座は、腰に負担がかかるのも確かです。
緒方さんのセリフには、本当に つくづく考えさせられます。
さすが緒方さんだなあと思いました。

・・・・・・・ああ お父さん。
ちょうど今、進藤が寝ながらホテルの部屋からゴロゴロと音をたてて
勢いよく廊下に転がってきました。
そして階段からドカドカと落ちています。←現在進行形
また、社の部屋から
「はもяもおおお%う?おぉぉжGあああぁぁほが――――――――――――――!!!!!!」
という雄たけびが聞こえます。
寝言のウルサイ奴です。

はあ・・・、またボクは見なくてもいいものを見てしまいました。
眼前で、中国チームのメンバーがコマネチをしながら廊下を横切って
います。
さらに今度は、韓国チームのメンバーがレストランのテーブルの上で
生け花を始めました。
・・・ホント、疲れます・・・・・・。



お父さん・・・・・・、もう春ですねぇ・・・・・・・・・。
(おかっぱの国から2003・春 おわり)


(6)

<お袋おかっぱノ巻>

「じゃあ行ってくる。戸締りは、気を付けるんだぞアキラ」
「アキラさん、後は お願いね」
「はい分かりました。いってらっしゃい、気をつけて」
日の落ちた夕方、行洋と明子は邸宅前の道路でタクシーに乗り、韓国に
行くため空港に向かった。
おかっぱは それを見送ると邸宅に戻り、居間で1人お茶をすする。
「あっ、そうだ。お母さんに頼まれていたことしなくちゃ。
もう、夕食時だし丁度いいや」
湯飲みを台所の流しで洗いながら、おかっぱは ある物に目を向ける。
その視点先にあるのは、古ぼけた一つの壺。
壺の上に置いてある板を取ると、中は ぬか床になっている。
塔矢家では食卓に漬物は欠かせない。このぬか床は、明子が結婚した時に
持ってきた物で、明子の実家秘伝とされる門外不出のぬか床だ。
そのぬか床は、すでに百年を経過していると言われ、漬ける野菜は極上の
ぬか漬けになる。まさに美味しんぼにも登場しそうな極上で究極のぬか床。
留守を預かる間、明子から おかっぱは「ぬか床コネコネ係」という塔矢家
食卓事情を左右する重大な使命を任される。
おかっぱは腕をまくり、「よっこいしょ」と、壺の前にしゃがみ、ぬか床
を右手でかき回し始める。
ぬかは毎日手入れをしないと、美味しいぬか漬けが作れない。
ぬか床をこねていると、幼い頃の記憶が おかっぱの頭に浮かんできた。
おかっぱは幼少時、明子と一緒に このぬか床に野菜を漬けた時、ぬかを
泥と間違え、お団子を作ったこともある。


(7)

「わー、べちゃべちゃだああっ」
4歳のチチャーイおかっぱは、楽しそうに壺に両手を突っ込み、ぬかを
コネコネする。
ネチャネチャとした感覚が楽しくて、覚えた手の歌を歌いだす。
「ほーらぁ おしょれないーで みーんなのためにぃ
あいとゆーきだけが とーもだーちぃさあぁあー♪」
「ほらアキラさん、コネコネしてばかりいないで、人参さんと
キュウリさんを その中に漬けてちょうだいな」
「はあぁ〜い、わかりましたぁあ!」
チチャーイおかっぱは いきなりズボッとぬか床から両手を抜き取る。
すると、勢い余ってぬかが飛んで、チチャーイおかっぱの頭や顔にベタリと
ついた。
「わぁああっ〜、くしゃいよおっ〜!!」
チチャーイおかっぱは、今にも泣きそうな表情をする。
「あらあらアキラさん、そんな元気に触ると そういうことになっちゃう
のよ」
明子はチチャーイおかっぱについたぬかをタオルで取り、おだやかに笑う。

・・・そんな事を思い出しながら ぬか床をこねていると幼い頃に、昔よく
歌っていた歌が自然と口から出る。
「ほーら おそれないーで みーんなのために
あいとゆうきだけが とーもだーちさあー♪」
(↑日本の囲碁界を震撼させている15才・射手座・AB型の天才おかっぱ
棋士)



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