平安幻想異聞録-異聞- 5 - 8


(5)
「ふざけんな!放せよ!やめろっ!」
必死で叫ぶヒカルの顔をニヤニヤ笑って眺めながら、座間はかまわず手を進めた。
その武骨な指が後ろの門にふれると、おびえたようにヒカルの体が跳ねた。
「そんなとこ触るな!」
「おやおや、まるで初めてのような反応じゃのう。それとも佐為殿に操をたてておるのか?
 佐為殿以外にはここは触らせぬと」
「何言って……」
「可愛がられておるのだろう?佐為殿に…ワシとしては、稚児を愛でるならもう少し
 大人しいほうが好みなんじゃが、たまには違う味付けの肴を味わうも一興よのう」
ヒカルはそこでやっと、座間に佐為と自分がそういう関係だと思われているのに
気がついた。
宮中の貴族の趣味でそういうのがあるのは知っていたが、
まさか自分がそんな風に見られていたとは…。
「佐為は、そんなヤツじゃない! 佐為はこんなこと絶対しね……うっ!」
きつく閉じられた門の入り口を破って座間の指先が入りこむ感触に、
ヒカルの言葉は途切れた。
座間の指はさらに、強引にヒカルの肉のなかにねじ入り、中をゆっくりかき回す。
「や、やめ……っっ」
「ふふふ、きついきつい。どうやら本当に初めてらしいのう」
座間はさらに、ヒカルが身動きとれないのをいいことに、
中に入った指をうごめかしながら、ヒカルの腰の脇をじっとりと舐めあげた。
感じやすい場所を刺激されたこそばゆさと、座間の湿った舌の気味悪さの
ないまぜになった奇妙な感覚にヒカルは小さくうめき声をあげる。
座間の舌はさらに調子にのったように、微妙に舌をうごめかしながら、
ヒカルの腹の上をはいずり回り、さしずめなめくじが這った後のような銀色の道筋を残しつつ、
やがてその先の薄い茂みの向こう、
いまだ怯えのためか萎えたままのヒカル自身にたどり着いた。


(6)
自身を座間の舌にゆるりと舐めあげられ、ヒカルが抵抗を再開する。
無駄と知りつつ、体をよじって振り払おうとせずにはいられなかった。
「…っ! …畜生!やめろよ!この変態!放せっ」
「いちいちうるさい肴じゃのう。これでは集中できぬわ。顕忠!」
「はっ、ただいま」
菅原は一礼すると、果敢に自分をにらみ据えるヒカルの顔近くにかがみこみ、
手早く狩衣の切れ端でヒカルの口にさるぐつわをしてしまった。
「う、う〜〜〜っっ!!」
「しかし、これでは、儂のをくわえさせることは出来んのう。残念じゃ」
「いたしかたありません。この様子では、くわさせても座間様の大事なものを
 食いちぎるいきおいです」
「とんだ毒魚じゃな」
「まこととんだ毒魚で」
「どれ、では佐為殿さえもまだ味わったことのない肴の味をゆっくり
 吟味するとしようぞ」
座間の舌がゆっくりと、ヒカルの薄い茂みの上からヘソの下にかけてを舐めあげる。
同時に、後ろの門に入ったままだった座間の指がさらに奥へと侵入する。
ヒカルが嫌がって体をよじるのさえ、座間は楽しそうだ。
座間の指が中でくいっと曲げられ、ヒカルの前立腺を内側から、
ほとんど直に刺激する。
いままで感じたことのない直接的な快感は、一瞬にしてヒカルの背筋をかけのぼり、
ヒカルは体を弓なりに反らせた。
「こらこら、あまり跳ねるでないぞ」
そう言いながら、座間はヒカルの肌を舐め上がり、ついに胸にの小さな果実を口に含み
舌で転がしはじめた。
そうしながら、中の指をうごめかして、ヒカルの性感を刺激することも忘れない。
「………っっ!!」
さるぐつわを噛まされているため、声をあげることさえ出来ないヒカルは、ただ
イヤだという意思表示をするために頭を左右に振ることしか出来なかった。
座間は口の中でヒカルの胸の突起を転がしながら、中に入れる指を2本に増やす。
痛みにヒカルの体が跳ね、、まなじりにうっすらと涙が浮かんだ。涙は痛みの為ではない。
屈辱のためだ。
「お味の方はいかがです?」
訪ねる菅原に、一時ヒカルの肌から顔をあげた座間は
「甘いな」
と返す。そして次には、ヒカルのまぶたの端に光る涙のつぶもその舌で舐めとると
「こちらはしょっぱいな」
と笑う。笑いながら、2本を飲み込むのさえ精一杯だった秘門に3本目の指をねじ込んだ。
ヒカルの布を噛まされた口から声にならない悲鳴がもれ、秘門の端は切れて、
血をにじませた。


(7)
痛みからのがれようと、ふたたび暴れだしたヒカルの体を
その体重を使っておさえつけ、座間は3本の指をヒカルの中でうごめかす。
舌はこんどはヒカルのふっくらとした幼さの残る頬を這いずっていた。
頬から耳へ、耳の裏も表も一通りねっとりとシャブリつくすと、
今度は耳の後ろから首筋へ。
ゆっくりと味わい尽くしてゆく。
その感触に嫌悪感を抱きながら、徐々にヒカルの息はあがっていった。
ヒカルの体奥深くで蠢く3本の指がそうさせるのだ。
痛みはひかない。むしろズキズキとヒカルの体をさらにさいなむ。
だが、秘門の中のその1点を攻められれば、人間の生理現象として、
快楽がその体を反応させるのだ。
「ほう、立ち上がってきておるではないか」
座間がヒカルのまだ幼いものをなでる。
ヒカルの体が朱にそまっているのは、もはや悔しさのためだけではなかった。
座間の中に入った人さし指が、グッとその場所を強くこすった。
「………っっ!」
ヒカルの喉から、喘ぎとも悲鳴ともとれる声があがって消えた。
ヒカルの中心部は本人の意思に反して更に立ち上がる。
「良き眺めじゃ。佐為殿も、この肴を食わずに据膳にしておくとは、
 まことに惜しいことをする」
言いながら、座間は腰をヒカルの太ももの間にいれてきた。
着衣をはだけると、そこには赤黒く太い蛇の頭のようなものが、
弓なりに天へむかって反り返っていた。


(8)
体の中からようやく引き抜かれた指にヒカルがほっと息着く暇もなく、
座間は腰を据えると、思い切りよくグイとその熱い鉾をヒカルの秘門に突き立てた。
痛みとその熱さにヒカルは身をよじって逃れようとするが、
座間はヒカルの肩をがっしりと地面におさえつけてそれを許さない。
そのままグリグリとかき回すようにして、座間のモノはヒカルの中に侵略してきた。
ヒカルは痛みに悲鳴をあげて首を振ったが意にかいして貰えるはずもなく、
やがて座間は、そのほとんどをヒカルの中に埋め込んでしまった。
痛みのための汗と涙でぐっしょりとぬれたヒカルの頬を、座間が薄ら笑いを浮かべながら
舐めあげる。
「ここまでくれば、極楽浄土は目の前だよ、検非違使どの」
言うが早いが、座間はゆっくりとその腰を揺すり始めた。
ただ抜き差しするだけではない。
ヒカルのイイ所をこすりあげるように、強く弱く腰を揺さぶる。
その刺激に、挿入の痛みで一度は萎えてしまったヒカル自身も、ふたたび頭をもたげ始めた。
体の奥深くまで侵入され、なんども熱いものでその部分を刺激されるうち、
ヒカルの下半身から痛み以上のものがはい上がり始めた。
裂けて血を流し続けている秘門はヒリヒリと痛みをうったえ続けていたが、
ヒカルの背筋を這い登るのは、今やそれ以上の……
「……あ…」
ヒカルの口から思わず知らず、小さな喘ぎ声が漏れた。
自分でもそれに気づいたヒカルは、あわてて喉の奥から込み上げてくるそれを
押さえ込もうとするが、一度、快楽を拾い始めた体はもう歯止めがきかなかった。
誰だって、痛みより快感の方がいいに決まっている。
ヒカルの体は痛みを忘れるために、神経を体の中心を擦られる快楽の方に
集中させることにしたらしい。
「どうやら、佐為殿の気に入りの検非違使の体は、快楽に素直なたちと見える。
 初めてでこれだけの反応をかえすとはのう」
座間のその言葉が悔しくて、ヒカルはせめて歯をくいしばって、漏れでる声を抑えようとしたが、
布を噛まされた状態ではそれもできず、ただ、喉からこぼれる、自分のものとも思えない
細いあえぎ声を聞くことしかできなかった。
目じりから流れ出る涙が悔しさの為のものか、快感の為のものか、
すでに自分でもよくわからなくなっていた。



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