無題 第2部 50


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「かっ…カワイイ…!?」
綺麗、と言われた次には可愛いと言われて、アキラはますます赤くなった。
自分でも頬が赤くなっているのがわかる。意識すると余計熱いような気がした。
駄目だ、静まれ、と自分に言い聞かせているアキラをヒカルは楽しそうに見ながら、ふと手を
伸ばして耳をちょん、とつまんだ。
「耳まで真っ赤だぜ?」
「進藤…っ、ふざけるなっ!!」
ヒカルの手を振り払おうとしたアキラをかわしてヒカルは笑った。
「ハハハッ」
触れた耳が思いの他熱くて柔らかくて、ヒカルにはその熱が自分にも移ってきてしまう気がして、
高まっていく胸の動悸を誤魔化すように走り出した。
「待てよっ…進藤…!」
走るヒカルの後をアキラが追う。
追いかけてきてくれるのが嬉しくて、追いつかれないようにスピードを上げた。
走り出すと地下鉄の駅はすぐだった。
「いっちゃあーく!」
そう叫んで入口の壁にタッチし、軽く息を切らしながらそこにしゃがみ込んだ。
それから、小さい声でヒカルは呟いた。
「ちぇ、もう着いちゃったか。」
走ってきたんだから当たり前なんだけど。



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