平安幻想異聞録-異聞- 50


(50)
眠りの沼の深遠にいたヒカルの意識を呼び戻したのは、床板がきしむ小さな音だった。
ヒカルは闇に寝ぼけまなこの目を凝らす。
部屋の中の空気が完全に止まっている。それは重くのしかかるような、
奇妙な息苦しさだった。
少し暗闇に慣れた目で、となりに寝ているはずの佐為の気配をさぐる。
ミシリと、また床板が鳴った。その音は案外近くて、ヒカルはその音源を探した。
ヒカルの枕元近くの板がわずかにたわんだ。何だろう、と、ぼんやり見つめるヒカルの
目の前で、その床板と床板の隙間から身をよじるようにして入り込んできたのは、
アサガオの芽のような、螺旋状を描く蔓だった。
(タケノコが床板破るってのは聞いた事があるけど、アサガオってのはどうなんだろう)
と、ヒカルが覚めきっていない頭で馬鹿なことを考えている間に、
それは2本、3本と殖え、徐々に太さを増していく。その先端は闇の中を手探り、
尺取り虫のように床を這いながら、ヒカルの方に近寄ってきた。
(なんだよ、これ!)
ようやっと事の異常性を知覚して、飛び起きたヒカルだったが、その足には
すでに、蔓が2本,巻き付いており、立ち上ろうとしてバランスを崩したヒカルは、
布団の上に転がった。
(妖し?)
その蔓は、まるで練ったうどん粉のような弾力を持ち、やけにひんやりとした
死人の肌の温度。
――気持ち悪い……。
振りほどこうとして足に遣った手は、それに届く前にまた別の蔓にからめとられた。
手首を取った細い蔓が、数本絡み合いながら、ひじ、二の腕と這い上がり、
ヒカルの肩にまで登る。
まるで何かをさがしているようだ。
その先端が、まるで蛭のように、口をぱくぱくさせているのを見て、
ヒカルの背にゾッと悪寒が走った。
「……佐為……」
それは、ヒカルの肩からさらに探索を進め、首へと吸い付く。
「佐為ーーーっっ!!」
佐為が飛び起きた。



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