失着点・展界編 50
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「…そろそろ限界かな…。」
緒方はバスルームのドアを開けた。すぐそばでヒカルは床に寝転がって
苦しげに息をしていた。顔面は蒼白で、全身に脂汗が浮き出ている。
緒方はヒカルを抱き起こすとトイレに運び、便座を上げた状態のところに
向こう向きに座らせた。
「…だ…、や…だ…」
蚊の鳴くような声でヒカルは抗うが体のどこにももう力が入らなかった。
緒方の指が栓をひねるようにして、抜いた。ヒカルが悲鳴をあげた。
同時に水を流し、ヒカルの体内にあったものが排出され吸い込まれて行く。
「うう…うっ」
ヒカルは嗚咽した。自分にされた事が信じられなかった。
腸が痙攣するのが治まるのを待って、緒方も全裸になりヒカルと共に再び
バスルームに入る。シャワーで体を洗われている間中と、体を拭かれ
抱え上げられてベッドルームに運ばれるまで、ヒカルはずっと体を震わせ
泣きじゃくっていた。
「…や…だ、…もうや…だ…」
ベッドに寝かされ、しゃくりあげるヒカルの涙を緒方は指でそっと払う。
額に張り付いた前髪を梳き、額に優しくキスをしてヒカルを落ち着かせる。
「…オレが憎いか…?」
ヒカルは返事をしなかった。ただ、ショックからは立ち直ったのか、緒方に
抗議をするような目つきを返して来た。
緒方はフッと笑うと、そのヒカルの目もとを吸った。
「キミは強い子だ…。こんなこと位で、女の子みたいに泣いちゃいけない。
そうだな。」
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