失着点・龍界編 50 - 51
(50)
伊角は和谷に連絡を取りつつ三谷に声をかけようと近付いた。三谷は直感的に
ヒカルの仲間だと思ったが、とっさに走り出して逃げようとした。
伊角から連絡を受けた和谷が先回りして追い掛けその後を追った。
「おい待てよこのヤロウ!!」
裏通りを相当走りまわった末に和谷が追い付き、ようやく捕まえる。
「…進藤をどこに連れて行ったんだ!?知っているなら教えろよ!!」
和谷は三谷の襟首を掴んで建物の壁に押し付け激しく揺する。
「…ずいぶん友達思いなんだな、あんたらって…。」
「何だと…!?」
「…そんなに進藤の事が大事なのか?」
「…ああ、そうだよ。大事だよ。だから何だって言うんだよ。
いいから早く答えろ!!」
荒い呼吸の中で和谷が睨み付けると三谷が可笑しそうにクスクス笑い出した。
「…ずいぶん真剣なんだな。…そうだよな。あいつが真剣だから…だから、
あいつに関わった奴もみんなそうなるんだな…。」
その独り言のような三谷の言葉や態度が理解出来ず和谷は困惑した顔になる。
そこへ息を切らしながら遅れて追い付いた伊角が、ようやく棋院会館で緒方と
連絡をとれた事を伝えて来た。和谷は緒方と2〜3やり取りをして目の前に
居るのが三谷だと理解した。
「マンションの場所を言えよ、三谷。知っているんだろ!?」
「…オレだって詳しい場所は分からない…。港の近くだとしか…」
和谷は三谷に携帯を渡して直接緒方と話しをさせた。緒方はその三谷からの
情報を元にマンションの場所を特定した。
(51)
アキラは沢淵の指と舌による執拗な愛撫を受け続けていた。唇から耳、首筋、
左右の乳首へと何度となく肉厚な舌が往復し、指先は柔らかな袋を揉みしだき
包皮を剥き下げて敏感であるはずの部分を弄ぶ。だがそこは刺激を受けた
時だけ僅かに反応するものの、指が離れるとまた元の大きさに戻ってしまう。
一向にそれらしい何の反応も顕わさないアキラに沢淵は再び苛立ちを
隠せなくなっていた。
「…そろそろこちらも、試させてもらうか。」
沢淵はアキラの両足を割り開くように持ち上げると、その付け根に手を
持って行った。柔らかな部分の付け根に沿うように指先を運ぶとその奥の
目的の場所に近付けていく。指先の腹で数回その周辺を撫で回すと
固く門を閉ざした中心に指を突き立てて力を加えた。
「…っ!!」
背の高さに相対する太く長い中指が一気に半分程アキラの体内に侵入した。
さすがに苦痛を感じたのか、アキラはわずかに顔をしかめ、体を浮かせた。
「…これは、かなりきついようだな。」
沢淵は一度アキラから指を引き抜く。その衝撃にビクッとアキラが体を
一瞬震わせた。沢淵はベッドの脇の机から瓶を出し、中のクリーム状の物を
手にとると指に馴染ませ、もう一度今度は指の付け根まで突き入れた。
「…中はずいぶん温かいよ…。“お人形さん”。」
天井に感情のない視線を向けたまま、アキラは体内に侵入し何かを探るように
動く異物の感触に耐える。手慣れた様子で指の腹は目的の箇所を探り当てた。
クリームによって滑らかな動きを許された指はその部分を中心にゆっくりと
抽出の動きを始めた。
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