失着点・展界編 51
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緒方はそう言うと、不機嫌な飼い猫をあやすようにヒカルの喉元を撫でた。
「ああしておいた方が、後で辛くないんだよ。…覚えておくんだな。」
そしてスタート地点に戻ったかのように軽く唇を重ね合わせ、耳元、首筋へと
丹念なキスを重ねて行く。無表情に天井を見上げていたヒカルだったが、
やがて目を閉じた。気持ちとは裏腹に皮膚の感覚は一層敏感になっている。
緒方はヒカルの体をうつ伏せにして今度は背中を辿って行く。
シーツに伏せたヒカルの口から声がもれ出すのにそんなに時間は
かからなかった。シャワーでは冷め切らなかった熱が、まだ残っていた。
緒方の愛撫はあくまで優しかった。ヒカルの体に触れる指先一つ一つに気を
払い、まだどこかに張り付いていた緊張を溶かして行く。
そうして時間をかけて双丘に辿り着くと、腰のラインから足の付け根へと、
まず中心から遠く離れたところからゆっくり攻める。
「…もう少し足を開いて…そう、いい子だ…」
ヒカルは本当はすでにかなり高まっていた。さっきもそうだったが、なかなか
局所に来てくれない緒方の所業にいいように翻弄されていた。まるで、
欲しければ自分から求めろと言われているかのようだった。
「…く…して」
ほとんど聞き取れない小さな声でヒカルはそれを言った。緒方には届いた
ようだった。
「…いい子だね…、じゃあ、自分の指でそこを開いて見せてごらん…。」
ヒカルはカッとなって目を見開いた。
「…嫌なら、ここで止めてもいいんだよ。」
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