失着点・展界編 51 - 55


(51)
緒方はそう言うと、不機嫌な飼い猫をあやすようにヒカルの喉元を撫でた。
「ああしておいた方が、後で辛くないんだよ。…覚えておくんだな。」
そしてスタート地点に戻ったかのように軽く唇を重ね合わせ、耳元、首筋へと
丹念なキスを重ねて行く。無表情に天井を見上げていたヒカルだったが、
やがて目を閉じた。気持ちとは裏腹に皮膚の感覚は一層敏感になっている。
緒方はヒカルの体をうつ伏せにして今度は背中を辿って行く。
シーツに伏せたヒカルの口から声がもれ出すのにそんなに時間は
かからなかった。シャワーでは冷め切らなかった熱が、まだ残っていた。
緒方の愛撫はあくまで優しかった。ヒカルの体に触れる指先一つ一つに気を
払い、まだどこかに張り付いていた緊張を溶かして行く。
そうして時間をかけて双丘に辿り着くと、腰のラインから足の付け根へと、
まず中心から遠く離れたところからゆっくり攻める。
「…もう少し足を開いて…そう、いい子だ…」
ヒカルは本当はすでにかなり高まっていた。さっきもそうだったが、なかなか
局所に来てくれない緒方の所業にいいように翻弄されていた。まるで、
欲しければ自分から求めろと言われているかのようだった。
「…く…して」
ほとんど聞き取れない小さな声でヒカルはそれを言った。緒方には届いた
ようだった。
「…いい子だね…、じゃあ、自分の指でそこを開いて見せてごらん…。」
ヒカルはカッとなって目を見開いた。
「…嫌なら、ここで止めてもいいんだよ。」


(52)
ヒカルはしばらく動かなかった。シーツを握りしめ、唇を噛んでいた。
緒方は黙って、体を起こしてベッドから下りようとした。
ヒカルはハッとなった。
「待ってよ…!」

だが、緒方はドアの方へ歩いて行く。
「やるから…、言う通りにするから…!」
ヒカルは四つん這いの姿勢になって腰を突き出した。片手で体を支え、片手を
下肢の方に伸ばす。悲しいからか怒りからか分からなかったが、震えが
止まらなかった。そして指がその箇所まで来た時、緒方にその手を掴まれた。
緒方はベッドに上がりヒカルに覆いかぶさるようにして、涙ぐむヒカルの
耳元で囁いた。
「…悪かった。少し意地悪だったな…。」
緒方は指先でヒカルの袋の根元から狭門の間のすべすべした部分をしばらく
くすぐるように撫でていた。
「ん…っ」
ゾクリとする感覚にヒカルの腰の位置が下がる。
「姿勢はそのままだよ…。動かないように。」
緒方は体をずらすと、最初に舌をヒカルの中心に差し入れた。
「あ…っ!」
ヒカルの全身がビクンと震えた。腫れと血液の集中で柔らかく膨らんだその
部分にある程度潤いを含ませると、緒方は次に指先をゆっくりと押し入れた。


(53)
「あ…あ、ん…っ」
ヒカルの体が反応を示し、筋肉が収縮していく動きに合わせるようにゆっくり
ゆっくりと、緒方は指先をヒカルに吸い込ませて行く。そして人さし指の
中程まで行くと、スッと引き抜き、もう一度舌で優しく撫でる。だ液が伝わり
落ちて濡れた袋の根元までの部分をやはり焦らすように撫でて、その延長かの
ようにスーッと指を内部に潜り込ませる。
すっかりその部分は侵入物を拒否するのではなく、もっと奥に導こうと言う
動きを学ばされていた。指は2本になったが反応は変わらなかった。
緒方はベッドの下から化粧品のビンのようなものを取ると、蓋を開け
手に取った。
「…な…に…?」
ヒカルが少し怯えたように緒方を見た。
「…痛みは少ない方がいいだろう。」
ぬるりとした液体が狭門に、更に狭道の内部に塗り込まれる。
「あ…はあっ…」
潤滑油的な働きの助けで更に滑らかに緒方の長い指が深部に届いた。
それだけでももうヒカルは頂点に達しそうになった。
「…がまん…できな…」
半泣き状態でヒカルが訴えようとした時、指が引き抜かれて代わりに熱く
大きな質量を持ったものが宛てがわれた。
「…あ…っ」
ヒカルは目を閉じた。ゆっくりと自分の体が無理強いされることなく開かれて
行く、その感触に浸った。


(54)
痛みは全くない訳ではなかったが、質が違った。理不尽な痛みではない。
道を空ける準備を辛抱強く待って緒方は少しずつ進んで来た。
「辛くなったら、言うんだ。」
気持ちだけでなく、体を説得しながら。
うねるような快楽が、すぐに来た。まだ完全には突き通っていない段階で、
緒方を受け入れているという行為自体に興奮したのかもしれない。
「ふ…うっ…んんっ…!」
それは急激な絶頂というより、なだらかな丘状に漂うような感覚だった。
射精を伴わない、確かアキラも、同じような反応をしていた気がする。
それでもしばらく体の奥深くが脈打ち、呼吸が乱れた。
すると緒方はゆっくり後退し始めた。
「やだ…!」
思わずヒカルは叫んで、真っ赤に赤面した。緒方を逃すまいと体を締めたが、
抜け出す際に受ける感覚を高めただけだった。
緒方はヒカルを仰向けにした。頬を上気させながら、ヒカルは初めて今自分の
中に居たそれをまじまじと見た。分かっていたら、とても受け入れられないと
逃げ出していたであろう、巨大にそそり上がった緒方自身があった。
緒方は再びヒカルの両膝を抱えての間に体を入れ、侵入を始めた。
さっきよりは幾らか早いスピードで、まだ微かに痙攣が残る狭道を
進んで来る。
「ああ…」
さっきの地点まで辿り着くと、スピードを落とす。緒方が進むと言うより、
その後はヒカルがどれだけ飲み込んでいけるかという感じになった。


(55)
緒方はそこでようやく尖り立ったヒカル自身にそっと手を触れた。
「はっあ…っ!!」
まだ到達させぬよう、刺激をあたえすぎないよう注意深く指先でなぞる。
「ああっ…あ…あ」
何度も与えられる遠回しな快楽に動かせる範囲で首を振り、身をよじって、
ヒカルは激しく乱れ始めた。
緒方が少しずつ体重をかけ、今までアキラも和谷も触れていない部分に
入って来る。そう思うだけで、異常に感じてしまっている自分がいる。
それ以上に加えられる触感に気が狂いそうだった。
体を沈めながら、緒方はそんなヒカルの反応を十分感じ取っていた。
…こいつは…
緒方の目には、もうヒカルはただの子供として映ってはいなかった。指を
噛み、涙混じりの空ろな瞳で天井を見上げ、くぐもった甘い声で鳴き続ける。
淫靡で淫らで、果てしなく魅惑的な魔性の天使がそこに居た。
まさに結合しきる直前に緒方は再度後退させる。ヒカルが泣き声に近い悲鳴を

あげた。汗が滲んだヒカルの全身がカタカタ震え、これ以上焦らさないで
早くその瞬間が欲しいと緒方に強請り、緒方自身を締めつけて来る。
「…わかった…、御褒美だな…。」
緒方はまず、唇でヒカルの唇を塞いだ。後退を止め、そこから深部に向かう。
体が接するまで一気に進める。塞がれた口の中でヒカルが呻いた。
ヒカルの体がそれに耐えうると判断し、緒方は動き始めた。同時にヒカル自身
全体を手で包み込み、擦りあげる。
「…!!…!!」
ヒカルの喉の奥が何かを叫ぼうとするのを制したまま、緒方は激しく動いた。



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