クチナハ 〜平安陰陽師賀茂明淫妖物語〜 52
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云われてみると確かに、クチナハの動きは弱まっていた。
もはや明の内部を嬲ろうとする元気もないらしい。
苦しいのかピクッピクッと絶えず身をヒクつかせながら、
悶えるように不規則に長い身を蠢かせ続けている。
だが今までに比べれば格段に緩やかで、明を追いつめることを目的としないその動きが、
クチナハの淫液で疼く内壁を持て余す今の明にとっては
堪らなくもどかしいものに感じられた。
「・・・ふぁッ、・・・ゃぁあぁ・・・っ」
思わず喉から洩れた甘い声と共に、
もっと激しい動きをねだるように腰をくねらせてしまった己に驚いた。
――ボ、ボクは今何を。
そんな明を見た緒方の、御符を押さえつける指から怯むように力が抜けかかった。
「・・・逆効果か?止めたほうがいいか?」
「やっ、駄目ッ・・・!そのままにしてください!」
ぱっと緒方の指ごと、御符が入り口から離れないよう押さえつけた。
――こんな状況だと云うのに、快楽を求めるなどどうかしている。
たとえもどかしい感覚に苛まれようと、クチナハを弱らせ光が戻ってくるまでの
時間稼ぎが出来るなら、それに越したことはないではないか。
「・・・いいのか?そいつが苦しんでますます暴れたりはしていないか?」
「はい!御符のせいで弱っているようです」
「・・・なるほど。・・・とすると、今の声は・・・」
含みのある声で呟きながらチロリと見られて、明は頬を熱くした。
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