Shangri-La第2章 52
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考え事をしながら眠りについたアキラが目を覚ますと
すこし窮屈で、すこし重たくて、すごく温かで――
そして眠りについた時とは違い、自分に廻されたヒカルの腕は
無意識なのか、それとも一度目を覚ましてのことか分からないが、
いずれにしても、その全てが嬉しい事には変わらない。
それにしても、額の一点が、妙に涼しい。
確かめようにも、しっかりとヒカルに捕らえられていて、難しい。
少しだけアキラが身をよじると、ヒカルの手にちょっと力が篭る。
ヒカルから離れないように、そして起こさないように
慎重に慎重に身体の向きを変えてやっと、
アキラは冷たい辺りに手を伸ばすことが出来た。
額の一点が生温く濡れ、前髪も局地的に湿っぽい。
(これって、もしかして……、よだれ?)
咄嗟にアキラは首だけでヒカルを振り返ったが、暗いうえに
角度が悪かったため、ヒカルの姿を目で確認することは出来なかった。
しかし何をしても、何があっても起きそうにない
今のヒカルなら、涎の一つも垂らしながら眠っていたとて
そうおかしいことではない。アキラは苦笑いを浮かべた。
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