平安幻想異聞録-異聞- 52


(52)
思わぬところへさまよいこんだ、異形のモノの、冷たくむっちりとした
感触の薄気味悪さに、ヒカルが首をすくめた。
「ヒカル!」
佐為は、自分の足首に巻き付くそれが、簡単に断ち切れない事を見て取ると、
その源を冷静に見極め、今度は、床板の間からはみ出す蔦の形のものの一番の大元、
太く蠕動するその茎にあたる部分に刀を振り下ろした。
刃がずぶりとその肉に埋まる。
佐為は渾身の力をこめて、その異形の肉を横になぎ払った。
ビシャリと何かが潰れる音がする。
部屋が異様な臭気に満ちる。
肉片の様なものを飛び散らしながら、茎が半分にちぎれた。
ちぎれて飛んだ禍々しい断面をした肉片は、まるでバラバラにされた
ミミズのように1片1片がのたくり、跳ねる。
そして、何かに操られているかのように、自らの本体である
太い茎状のモノの方へ集まっていく。
それを見て佐為が再び太刀を振るおうとするのを、蔦の一本がムチのように
しなって打ち、その手から太刀を叩き落とした。佐為は慌ててそれを
拾うおうとしたが、太刀は、瞬く間に他の細い蔓に巻き取られ部屋の隅へと
持ち去られる。
その佐為の見る前で、大茎は、その傷口から、ブクブクと泡を発し、
みるみるうちに元通りの姿になってしまった。
元通り――いや、その表面は醜く節くれだち、さらに忌まわしさを増してはいないか。
その茎より延びて、ヒカルの体に巻き付くそれは、先端の口から
タラタラと糸を引く淫液を滴らせながら、その口でヒカルの皮膚を吸い、
舐め、貪るように身をくねらす。



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル