Linkage 55 - 56
(55)
「……はッ………ン……」
塞がれた唇から微かに漏れる切なげな喘ぎに後押しされるかのように、緒方はアキラの身体を強く抱きしめ、
更に深く唇を重ねた。
舌先をアキラの口腔内に滑り込ませ、熱く濡れた舌を絡め取る。
アキラは緒方にされるがままに口腔内を蹂躙され、酸素を求めて喘いだ。
緒方は湿った音を立ててアキラの口腔内を攻め立てながら、そのままの状態でアキラのシャツのボタンを
器用にひとつひとつ外していった。
シャツの前をはだけると、熱を帯びて汗ばんだアキラの胸や腹をまさぐる。
「…あンッ……はァ…ハァ………ん…アッ!」
緒方の指先がアキラの乳首を弄び始めると、アキラはびくんと身体を硬直させ、嬌声とおぼしき
くぐもった甘い喘ぎ声を上げた。
その様子に、緒方は満足そうに唇を離す。
2人の唇の間を透明な唾液の糸が伝い、サイドテーブル上のライトに照らされ輝きを放った。
緒方の背中に回した自身の腕が滑り落ちても、それに気付く様子もなく、アキラは荒い呼吸を繰り返す。
そして、虚ろな表情のまま、崩れ落ちるように緒方の胸に顔を埋めた。
緒方は前をはだけたアキラのシャツをすっかり脱がせ、床に放る。
アキラの身体がずり落ちそうになるのに気付き、腰に腕を回そうとした瞬間、「はァッ!」と掠れた声を上げ、
アキラがぴくりと肩を震わせた。
緒方はアキラを抱き支えると、腕を回した際に微かに触れたアキラの股間を見遣った。
麻のバミューダパンツ越しに、アキラのペニスが雄々しくそそり立ち、その存在を主張している。
先端から既に先走りの液が漏れ出したのか、ベージュのパンツには濡れたシミができていた。
(56)
「……前言を撤回した方がいいのかな、アキラ君。まだまだ子供と思っていたんだが……クックック」
緒方は低い声で囁いたが、アキラには聞こえていないのか、ぐったりとその身を緒方に委ねたまま
荒い息を続けている。
緒方はアキラをゆっくり抱き上げながら立ち上がると、アキラをベッドの中央に仰向けに横たえる。
サイドテーブル上の眼鏡を取って壁に凭れ、ライトに照らされたアキラの上半身裸の姿を鑑賞するように
眺めながら、緒方は小声で呟いた。
「最後にアキラ君と風呂に入ったのは、もう随分前のことだからな……。時が経つのはアッという間か……」
着崩れたバスローブを直すと、緒方はアキラを残し、寝室から出ていった。
アーロンチェアに腰掛け、PCデスク上の煙草の箱から1本引き抜き、一服し始める。
引き出しから再び薬の説明書を取り出すと、スクリーンセーバーが作動していたPCを操作し、
インターネットに接続した。
検索サイトで説明書に書かれた薬の名称を打ち込み、SEARCHボタンをクリックする。
数多くの検索結果の中から、薬に関する専門的な記述の多そうなページを選ぶと、英語で書かれた
ページ内の情報にざっと目を通した。
(やはり基本的には睡眠導入剤のようだが……量次第ではアルコールに近い作用をするのか。
アキラ君は恐らくそれだろう……あれは酩酊状態だ。……だが、それだけでは済まなそうだな……)
舌打ちしながら読み進めていく緒方の視線が、"SEX"という単語のところで止まる。
セックスと薬との関連性について記した項目だった。
煙草を揉み消し、その項目を注意深く読み始めた緒方は、内容に思わず唇の片端をつり上げる。
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