失着点・龍界編 56


(56)
「は…あっ…っ」
炙り出されるようにアキラの白い肌の所々が斑にほんのり紅色に染まる。
沢淵の手の中のアキラ自身から切なげに蜜が溢れだした。
「く…ふっ…う、うんっ…!」
沢淵の手の動きの変化に順応してアキラの吐息が乱れる。もう一人の男による
乳首への刺激に耐えられないと言うように首を振り胸を仰け反らせる。
それらは最小限度に押さえた反応だったが、充分な程淫微な妖しさを
醸し出していた。あれ程ガードが固く冷たかった表情が、今では上気した
頬と潤んだ瞳で別人のような妖艶さを顕わしていた。
目の前でまさに聖女が淫婦に変化する様を見たような思いで沢淵は
息を飲み、ニヤリ、と笑みを浮かべる。
「こいつは、すげえ…」
ヒカルはあまりに辛くて顔を背けた。しかし後ろの男に顔を掴まれ
前に向けさせられる。
「見届けてやれよ。…もうすぐ、だぜ。それにしても体したタマだぜ。
“子猫”ちゃんとはえらい違いだ。」
三谷の事を言っているのだと思ってヒカルは男を睨み返した。
「ここに最初に“子猫”ちゃんを連れて来た時はそりゃあもう大騒ぎ
だったよ。泣くは喚くわ引っ掻くわ。まあ一人で4人相手じゃあな…」
(…三谷…!!)
ヒカルは怒りを新たに縛られた両手をグッと強く握る。
「う…んっ…ああっ!」
アキラの声がなおも胸を抉られるように聞こえて来る。
沢淵が挿入させている指は3本になっていた。



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