Linkage 56 - 60
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「……前言を撤回した方がいいのかな、アキラ君。まだまだ子供と思っていたんだが……クックック」
緒方は低い声で囁いたが、アキラには聞こえていないのか、ぐったりとその身を緒方に委ねたまま
荒い息を続けている。
緒方はアキラをゆっくり抱き上げながら立ち上がると、アキラをベッドの中央に仰向けに横たえる。
サイドテーブル上の眼鏡を取って壁に凭れ、ライトに照らされたアキラの上半身裸の姿を鑑賞するように
眺めながら、緒方は小声で呟いた。
「最後にアキラ君と風呂に入ったのは、もう随分前のことだからな……。時が経つのはアッという間か……」
着崩れたバスローブを直すと、緒方はアキラを残し、寝室から出ていった。
アーロンチェアに腰掛け、PCデスク上の煙草の箱から1本引き抜き、一服し始める。
引き出しから再び薬の説明書を取り出すと、スクリーンセーバーが作動していたPCを操作し、
インターネットに接続した。
検索サイトで説明書に書かれた薬の名称を打ち込み、SEARCHボタンをクリックする。
数多くの検索結果の中から、薬に関する専門的な記述の多そうなページを選ぶと、英語で書かれた
ページ内の情報にざっと目を通した。
(やはり基本的には睡眠導入剤のようだが……量次第ではアルコールに近い作用をするのか。
アキラ君は恐らくそれだろう……あれは酩酊状態だ。……だが、それだけでは済まなそうだな……)
舌打ちしながら読み進めていく緒方の視線が、"SEX"という単語のところで止まる。
セックスと薬との関連性について記した項目だった。
煙草を揉み消し、その項目を注意深く読み始めた緒方は、内容に思わず唇の片端をつり上げる。
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We have identified four main prosexual properties:
1.disinhibition,
2.heightening of the sense of touch (tactility),
3.enhancement of male erectile capacity, and
4.increased intensity of orgasm.
「なるほど……『別の目的』とはそういうことか……。小野のヤツ……」
緒方は回線を切ってブラウザを終了させ、PCの電源も切ると、説明書を引き出しにしまい立ち上がった。
「どうりでアキラ君がいい声で鳴くはずだ……」
煙草をバスローブのポケットに入れ、アキラにプレゼントされたライターを手の中で転がしながら
低くそう呟くと、それもポケットに入れた。
別の引き出しを開けてワセリンの容器を取り出す。
「あのまま放っておくのも可哀想だ……。だいたいあんな姿を見せられては、オレもこのまま引き下がれん。
……今夜はもう子供ではないことをしっかり証明してもらうとするか、クックック」
誰も聞く者のいない部屋でひとり妖しく笑うと、緒方は部屋の電気を消し、手に持ったワセリンの容器を
宙に放りながら再び寝室へ向かった。
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アキラは仰向けになったまま、瞳を閉じていた。
呼吸は多少穏やかになったものの、薬の作用のせいかやはり僅かに早く、その吐息も熱を帯びている。
緒方はワセリンの容器をサイドテーブル上に置き、眼鏡を外すと、ポケットの煙草とライターと
一緒にまとめ、同様にテーブルに置いた。
ベッドの中央に横たわるアキラの腰元に座ると、紅潮した頬を撫でながら顔を覗き込む。
「……ん……緒方さん……?」
薄目を開け、茫漠とした表情で緒方の名を呼ぶアキラの唇をゆっくりと塞ぐ。
先程とは違い、丹念にアキラの唇の感触を楽しむようなキスを繰り返してやると、
アキラは片手で緒方の肩を弱々しく掴んだ。
「……ンッ……緒方さぁ…ん……どう…し…て…?」
緒方のキスに酔っているのかうっとりとした眼差しを向けつつ、アキラはなんとか
緒方にそう尋ねた。
緒方は答えずに、アキラの頬から首筋にかけて、軽く啄むような優しい愛撫の雨を降らせる。
「あンッ!……や………アァ……」
薬の作用で皮膚の感覚がひどく敏感になっているアキラは、緒方の行為に素直に反応し、
身を捩らせながらひっきりなしに喘いだ。
緒方は体重を掛けすぎないよう注意しながら、アキラの上に覆い被さり、身を捩るアキラを
押さえ込むと、薄紅に染まった胸の2つの小さな突起物に指先と唇で刺激を加えてやる。
「……はァ……アッ………ヤ…ダァッ!」
アキラは目尻を濡らし、声にならぬ声でそう懇願すると、バスローブを着たままの緒方の
背中を両腕で掴む。
緒方は沈黙したまま更に愛撫を続け、舌先でアキラのすっかり硬くなった乳首を転がした。
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緒方を拒絶しようにも、アキラは身体に力が入らず、ただ緒方の背中から頭部へと手を移動させ、
その髪を力無く掴むよりほかに術はなかった。
そんなアキラのささやかな抵抗など、まるで意に介する様子もなく、緒方は胸から下腹部へ唇を這わせ、
相変わらず一言も発さぬまま、ねっとりとした愛撫を繰り広げる。
やがて、緒方はアキラの履いているバミューダパンツのウエストを絞っていた紐を解くと、
ようやく口を開いた。
「まだ子供だと思っていたら、随分成長したんじゃないか、アキラ君。こんなに立派にテントを張ってるぞ。
それにしても、バッチリ濡らしてくれたもんだな……」
楽しそうにそう言って、緒方は布地越しにアキラのペニスの先端を軽く弾いた。
「はァッ!……あ…ンッ……」
甘い嬌声を上げるアキラに、緒方は更に続ける。
「まだイかないとは感心だな。こういうのは初めてだろ?」
今度は服地ごとアキラの屹立した幹を握ると、素早く扱き上げた。
「あアァッ!!」
麻独特のジャリッとした感触で擦り上げられ、アキラは呆気なく射精した。
汗で光る胸を激しく上下させはするものの、アキラはだらしなく腕を広げたままぐったりと動かない。
バミューダパンツのシミが広がり始めるのを緒方は薄く笑いながら見つめると、手早くそれを
脱がせて床に投げ、射精したばかりでまだ熱を失いきっていないアキラのペニスを濡らす精液を
丹念に舐め取った。
「薬は効くには効いたんだが、若干量を間違えたようでね。こうなったら、オレが責任を持って
アキラ君を眠らせてやるよ」
緒方は硬さを失ったアキラのペニスを手で弄びながら、ほとんど何も聞こえていないであろう
アキラに向かって語りかけた。
「今夜薬を飲んだのはアキラ君だが、オレの方に困った副作用が出たのかもしれんな……」
独り言のようにそう呟くと、緒方は手の中のアキラのペニスを口に含んだ。
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ほんの数分前に射精したばかりのアキラのペニスは、緒方の口腔内ですぐに強張り始めた。
根元まで含み込んでもまだ余裕がある大きさとはいえ、猛り狂ったアキラのペニスは緒方を
満足させるだけの硬さと熱を持っている。
緒方はアキラの反応を楽しむかのように、緩急をつけながら唇で陰茎を扱き上げ、亀頭の
付け根や先端の割れ目を舌先で刺激する。
熱に浮かされたアキラは、初めて経験する緒方の行為に身をくねらせて激しく喘ぎながら、
時折切なげに緒方の名を呼んだ。
「……はンッ………やァッ…アアァッ……お…がた……さ…ん…………あアンッッッ!!」
緒方が蟻の門渡りに指を這わせながら、唇で強く幹を擦り上げた瞬間、アキラは2度目の
精を緒方の口の中に解き放った。
緒方はゆっくりとアキラのペニスを解放してやると、口腔内の液体を飲み下す。
「随分タップリ出したな……」
肩を震わせて笑いながら、緒方は伏せていた身を起こした。
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