失着点・龍界編 56 - 60


(56)
「は…あっ…っ」
炙り出されるようにアキラの白い肌の所々が斑にほんのり紅色に染まる。
沢淵の手の中のアキラ自身から切なげに蜜が溢れだした。
「く…ふっ…う、うんっ…!」
沢淵の手の動きの変化に順応してアキラの吐息が乱れる。もう一人の男による
乳首への刺激に耐えられないと言うように首を振り胸を仰け反らせる。
それらは最小限度に押さえた反応だったが、充分な程淫微な妖しさを
醸し出していた。あれ程ガードが固く冷たかった表情が、今では上気した
頬と潤んだ瞳で別人のような妖艶さを顕わしていた。
目の前でまさに聖女が淫婦に変化する様を見たような思いで沢淵は
息を飲み、ニヤリ、と笑みを浮かべる。
「こいつは、すげえ…」
ヒカルはあまりに辛くて顔を背けた。しかし後ろの男に顔を掴まれ
前に向けさせられる。
「見届けてやれよ。…もうすぐ、だぜ。それにしても体したタマだぜ。
“子猫”ちゃんとはえらい違いだ。」
三谷の事を言っているのだと思ってヒカルは男を睨み返した。
「ここに最初に“子猫”ちゃんを連れて来た時はそりゃあもう大騒ぎ
だったよ。泣くは喚くわ引っ掻くわ。まあ一人で4人相手じゃあな…」
(…三谷…!!)
ヒカルは怒りを新たに縛られた両手をグッと強く握る。
「う…んっ…ああっ!」
アキラの声がなおも胸を抉られるように聞こえて来る。
沢淵が挿入させている指は3本になっていた。


(57)
「う…んっ!…ううっ…はっ…あ」
拷問のような刺激から体が逃げようとするのを男達は容赦なく固定しさらに
押し開いてより深い快感をアキラに施す。一瞬アキラの呼吸が止まり、
その後暫く激しく呼吸し、また止まる。そして泣き声に近い悲鳴があがった。
「…ああーっ…!!」
ガクガクと全身を震わせ、3度目で僅かしかない量を沢淵の手の中に吐く。
「はあっ…はあっ…はあっ…ん…ん」
幼い子供に返ったように頬を染めて半泣きで絶頂感の余韻に
全身を打ち震わせるアキラの姿は沢淵を十分に満足させた。
それは沢淵の股間が脈打ち証明していた。ヒカル以外の、その場に居た
誰もが魅入られたようにアキラによって激しく興奮させられていた。
「…それでは、頂くとするか」
沢淵がズボンの前を開けた。ヒカルはあの時の事を思い出した。
沢淵のそれは、あの時よりさらに大きく張り上がっているように見え、周囲の
男達のほうがその大きさに怯えたように目を見張った。
「壊れちまうんじゃないか、こいつ…」
沢淵は男達のリアクションに得意げにアキラの方を見た。そして
「うっ」となった。
髪を乱し、胸を上下させた荒い呼吸の中でもアキラの目は、沢淵の
それを見ても冷静だった。いや、むしろ冷笑しているといった表情だった。
…そんなもので、誰を脅かそうとしているわけ…?
沢淵は、瞬時にアキラのその表情の下にある未だに変化のない
自分に対する徹底した嘲りを読み取った。


(58)
「…死ぬ程泣き狂わせてやる」
沢淵は自身の先端をアキラの腫れ上がった狭門にあてがい力を込める。
じわり、と肉体的な限界を超える事を知らせる激痛が下腹部に走り、アキラは
歯を食い縛り目を固く閉じた。ヒカルも同じだった。
他の男達はごくりと息を飲んで食い入るようにその様子を見ていた。

その時ドアが小さくノックされた。
「…オレだよ。入れてよ」
ドアの所で見張っていた男も食い入るようにその様子を見ていたがドアの
覗き窓から外に立つ三谷の姿を確認する。
「何だよ、いいとこなのに。しかたねえなあ。」
見張りの男が舌打ちしながらドアを開ける。
と同時に緒方がドアを蹴り破るようにして開き見張りの男が吹っ飛ばされた。
起き上がりかけた所をさらに顎を蹴り上げられて見張りの男は気絶した。
「な、何だ!?」
驚いた沢淵と二人の男は玄関の方を一斉に見る。
「…!!」
中に駆け込んだ緒方はヒカルと同じように部屋の中の光景に顔色を失った。
「何だてめえは!!」
ヒカルの後ろに居た男が緒方に飛びかかり揉み合いになった。
その機会を逃さずアキラは沢淵の体の下から抜け出て自分の頭を思いっきり
腕を押さえていた男の顔面にぶつける。
「ぐわあっ!」
男の叫び声をよそにアキラはヒモを解くためヒカルに駆け寄った。


(59)
「このガキが!!」
頭突きを受けた男が手で顔を押さえベッドを乗り越えてアキラの腕を掴んだ。
「あ…っ!」
ヒカルに触れる直前でアキラの指先が止まる。そのまま男は強い力で
引き戻すとアキラの顔を持って額を壁に叩き付けた。
ガッと鈍い音がしてずるずるとアキラは壁伝いに床に倒れた。
タオルの下でヒカルは叫んだ。
「塔矢になにしやがる!!」
ヒカルに代わってそう叫んだのは和谷だった。
緒方に続いて部屋に飛び込んで来た和谷と伊角がその男に飛びかかった。だが
男の襟首を掴もうとした和谷は顔を殴られてベッドの上に吹き飛ぶ。
「和谷になにをする!!」
伊角が腰にタックルして男を壁際に押さえ付ける。
「な、なんなんだこいつら!!」
組み付かれた男は両手を合わせ握り込んで伊角の背中に打下ろす。伊角は一瞬
衝撃で息が止まるが手は離さなかった。
男は二度三度伊角の背中に打下ろすが伊角は離れなかった。
「伊角さんナイス!」
和谷が切れた口の端の血をぬぐって再度飛びかかり二人がかりで男を
床に押し倒す。とにかくケンカらしいケンカの経験がない二人に取っては
それがせいいっぱいだった。
馬乗りになり、とにかく動けないように男を押さえ付けた。
「三谷!進藤と塔矢を頼む!」
和谷は玄関のドアの所に立っている三谷に向かって叫んだ。


(60)
三谷は、ドアのところで倒れている見張りのポケットを探り、
中から何かを取り出していた。
「お前裏切ったな!こんなことして自分がどうなるか分かって…」
緒方と揉み合っていた男も三谷に向かって怒鳴る。緒方がその男に足払いを
食らわせ、床に投げ下ろし、さらにみぞおちに肘鉄を数回入れるとその男も
動かなくなった。
「三谷君、頼む」
アキラに駆け寄りたいのはヒカルと同じだったが緒方はそう三谷に声をかけて
残る一人、部屋の奥にいる沢淵と睨み合った。沢淵はこの騒ぎの中でも
ある意味待ち構えていたように余裕のある笑みを浮かべていた。
「これはようこそ、緒方先生。」
緒方は無言で眼鏡を外して床に放り投げいつもに増して鋭い目付きで
沢淵と対峙した。
ヒカルは何とか椅子から逃れ倒れているアキラの所に行こうともがいていた。
後ろ手に縛られたヒカルの手首のところの皮膚が裂けて血が滲んでいた。
すると急にフッとその両手が自由になった。後ろを振り返ると三谷が
立っていた。ヒカルは何か言おうとしたが今はアキラの方が心配だった。
口からタオルを外し、アキラに駆け寄るとヒカルは自分のシャツを脱いで
アキラにかぶせ、そっと抱き起こした。
だがアキラはピクリとも動かなかった。
「…塔矢…?」
壁に打ちつけられた所の皮膚が裂けてアキラの額の横側から一筋の血が
流れていた。その血の色とは対照的に、唇は青ざめ、ひどく顔色が
白っぽく感じた。目も閉ざされたまま開かなかった。



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