無題 第2部 59


(59)
おまえは一体どういうつもりで、そうやってオレに抱かれているんだ、と問い詰めたくなった事
は一度や二度ではない。だが、アキラの何も言わない瞳に会うと、オレは何も言えなくなる。
まるでヘビに睨まれたカエルのようだ。
十以上も年下の子供に振り回されて、何をやっているんだ、と思う。
アキラに溺れきってしまっている、という自覚はある。
だがそれが、女とはまるで違う少年の身体に対してなのか、それともアキラという一個の人間
に対してなのか、どちらなのか分からない。
例えばアキラ以外の少年、そう、例えば進藤ヒカル。彼が相手でも十分楽しめるだろう、とは
思う。あの生きの良さそうなやんちゃ坊主相手ならば、アキラを抱くのとはまた違った楽しみ
が味わえるだろう。または今年プロに合格した少年―少年と言うのもギリギリかもしれないが、
彼も悪くなさそうだ。中々虐めがいのありそうなヤツだ。
芦原では―さすがに育ち過ぎか。

くだらない妄想に、緒方は喉の奥で笑った。

だが、例えば進藤ヒカルが誰に笑いかけようが、誰を気にかけようが構わないが、アキラが
進藤に笑いかけるのは、進藤を気にするのは気にくわない。不愉快だ。
だがそれが嫉妬なのか、ただの独占欲なのかはわからない。
所詮、オレには恋愛と肉欲の違いなどわからん。
だが、何かが間違っているような、どこかで道を誤ったような気がする。
今日のアキラの明るい笑顔。あんな顔は見た事が無い。
そしてオレを見た時の硬い表情は。



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