失着点・展界編 59


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「お前の家に寄ろうと思っていたんだよ。…昨日は悪かった。今日は二人で
またどっかに打ちに行かないか?」
何も気付いていない様子の伊角にヒカルはホッとし家に向かって歩き出した。
「…悪い、今日はちょっと…。明日の午後からなら行くよ。」
その時、ちょうど宅配便の車がヒカルの自宅前に止まり、応対に出たヒカルの
母親がヒカルを見るなり大声を上げた。
「ヒカル!!あなたどこに行っていたのっっ!!」
その剣幕にヒカルも伊角も真っ青になり、宅配便の兄ちゃんも品物の受け取り
サインをもらいそそくさと退散した。
「ご、…ごめんなさい、ちょっと、友達ん家に…」
「電話の一本くらい入れなさいって何度言ったらわかるの!!」
「すみませんでした!…オレが一緒にいながら、つい、囲碁の話に夢中に
なってしまって…。…申し訳有りません…!」
伊角がヒカルの母親に深く頭を下げた。ヒカルは「えっ?」と思った。
伊角は母親のお気に入りなだけに、伊角の殊勝な態度の目でじっと
見つめられてヒカルの母親は少し気を収めたようだった。
「伊角さんが一緒なら…、でもね、ヒカル、今度は絶対気をつけてね。」
「わ、わかったってば。本当にごめんなさい。」
ヒカルは伊角に小さく手を合わせ、まだぶつぶつ不満を口にする母親に次いで
家に入ろうとした。そのヒカルに伊角が声を掛けて来た。
「…進藤、それじゃあ、明日な。」
「う、うん。」
「…約束、…守ってくれるよな、進藤…。」



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