Hope&Wish 6


(6)


「進藤…碁は一人では打てないんだよ」
ボクの声に、進藤が顔を上げた。
そう、ボクも最近になって、やっと分かったんだ。
「棋士は孤独で、でも独りじゃないだ。キミは何もかも一人で抱え込もうとしてる。
ボクとキミは似てるなと思ったよ。だから、きっと惹かれあったんだ」
だからこそ、間違えないで。気づいてほしい。キミは独りじゃないということに。
「キミを支えてくれていた人はいなくなってしまったのかもしれないけれど、
でもキミにはボクがいる。一緒に生きていこう。二人で未来を作っていくんだ」
これからだって、もっと大きな困難が立ちはだかるかもしれない。
だけど傷ついて迷いながらも歩いていけるだろう。キミとなら、どこまでも。
「塔矢…」
進藤の目を見つめながら、静かに涙を流すボクに、驚いた表情をした進藤がいて。
ボクの言葉がちゃんと伝わったのか、確信は持てないけれど。
それでも、少しでも、ほんのわずかでも、キミの心に何らかの変化を与えられますように。
『希望』という名の二文字を感じてもらえますように。

「…進藤…」

いつかまた彼の心からの笑顔が見られる日が来るよう願いをこめて……。



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