嘆きの少年王 6
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「オレの出番はなかったんだ。」
オガタンの口からでた言葉に、アキラ王は驚愕した。
そんな筈はない!まさか、そんな…
「キミは忘れていたんだろう、アキラくん。
クックックッ、このオレが、芦原以下の扱いをされるとはな…。
辛いな。キミにとってオレがそんな程度の存在だったと思い知らされるのは。」
「ま、待って下さい、緒方さん、ボクは…」
「例え出番がなくとも、キミがオレのことを考えていたと、自惚れていたんだがな。
それが進藤との初めての出会いの思い出に酔って、オレがいない事に気付きもしなかったと?
クックックッ、ほった監督からだけでなく、キミからも放置されるとは思わなかったよ。」
可愛さあまって憎さ百倍。
ギラギラと燃え上がるようなオガタンの瞳に射すくめられてアキラ王は動けなくなってしまった。
「キミに、オレを忘れさせないためにはオレはどうしたらいいのかな…アキラくん?」
声色だけは恐ろしいほど優しかった。
「緒方さん、どうか、正気に戻って…」
哀願するアキラ王の震え声が引き金になって、オガタンはアキラ王の身体を寝台に押し倒し、
上着を剥ぎ取った。そして彼の身体をうつぶせにして上体を自分の身体で押さえ込み、ズボンを
下着ごと引き下ろした。
「いや、いやだ…、誰か助けて…!誰か、…進藤…!進藤、進藤!!」
アキラ王の声が虚しく城内に響いた。
果たしてその声は彼の愛するイゴレッドまで届くのだろうか…
― 完 ―
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