深淵 6


(6)
御器曽は勝ち誇ったようにニヤニヤと笑い、ヒカルの顎に手を掛け
その薄い茶の瞳を覗き込む。
「誰が・・・アンタなんかに・・・!!」
ヒカルは怒りに燃え、眼前の男を真っ向から睨み付ける。冷たいナイフで切りつけて来る様な
その眼光の鋭さに御器曽は一瞬怯むが、それと同時に自分を気丈に睨み付けてくる
この小生意気な子供を屈服させてやりたいという欲望にも駆られた。
「その眼、ゾクゾクするよ・・・対局前にもしていたな。あの時からずっと思っていたんだよ、
その女みたいな顔をメチャクチャにしてやりたいってな」
「ヘッ、対局で負けたから今度は力ずくでやろうってのか?オレ男だぜ?
堕ちるとこまで堕ちたもんだな、御器曽七段さんよ!」
「その減らず口がいつまで聞けるか楽しみだよ」
「世の中にはな、お前みたいな綺麗な顔してる男に欲情する男だっているんだよ、覚えとくんだな」
そう言って御器曽は再びヒカルの身体に手を掛け、服を乱暴にたくし上げた。



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