断点 6 - 10


(6)
「動くな。」
冷たい声でピシリと言われてオレは動きを止めた。
いやだ、そう思うのに、塔矢の手がオレに触っていると思っただけで頭がクラクラする。怖いのと
気持ちいいのが混ざって、オレは混乱した。
「…やめて、塔矢、」
オレが泣きそうになりながら必死で懇願すると、
「やめて欲しいの…?」
突然、息を感じるくらい近くで声がして、オレは背筋がゾクリとした。それだけじゃなくて、塔矢の
手の中のオレもビクンと同じように動いた。
多分それを感じて、塔矢がオレの耳元で可笑しそうに笑う。
こんな風にからかわれて悔しいはずなのに、オレの分身は浅ましく塔矢の手に、耳にかかる塔矢
の息に、感じてしまっている。それを知って更に嘲るように塔矢の手が動き、あっという間にオレは
塔矢の手でイかせられてしまった。
怖いのか悔しいのか情けないのかよくわからなくて、でも身体が震えて、涙が浮かんできた。
「とう、や、」
恐る恐る振り返って、塔矢の顔を仰ぎ見て、オレは背筋が凍る思いをした。
無表情な顔が、オレの視線を捉えて、口元だけで冷たく、嘲るように笑った。塔矢のその冷たい笑
みはゾッとするほど恐ろしくて、そして心が凍りつくほど綺麗だった。
あの時の塔矢の顔をオレは今でも忘れられない。


(7)
恐ろしくて逃げだそうとした所を、腰に腕をまわされて、引き戻された。
引き寄せられたオレの尻に、熱い硬いモノが当たった。
もしかして――オレの嫌な予感を裏打ちするように、塔矢の手がまたオレの股間に回された。片腕
でオレの身体を掴まえながら、もう片方の手で、オレの吐き出したものを塗りこめるように尻を弄っ
た。指がぐっと突き入れられて、オレは思わずうめき声を上げた。だが塔矢の指はそんなものには
全然構いもせず、奥へ突き入れて行った。
尻の穴の中で塔矢の指が動く。異物感と気持ち悪さを堪えようと、オレはぎゅっと目を瞑った。やめ
てくれ、と言いたかったが、なぜか声に出せずにそれを堪えていた。けれど、堪えきれずにうめき声
を上げてしまうと、更に乱暴に指が動いた。
ふっとラクになって、ほっとしたと思ったら今度はさっき以上のモノが抽れられて、更に異物感は強
まった。きっとさっきは一本だった指が二本差し入れられたんだとわかった。
塔矢が指を動かし、出し入れするとぐちゅぐちゅといやらしい音が響く。苦しくて気持ち悪くてたまら
ないのに、時折何かの拍子に何か違う感覚が混ざる事にオレは気付いた。塔矢もそれに気付いた
らしく、今度は探るように指を動かす。
「はんっ…!」
ぐっとそのポイントを突かれてしまって、オレは変な声をあげてしまった。慌てて口を噤もうとしたが、
塔矢はそれを許してくれず、執拗に、その周辺を擦るように刺激し始めた。
「な……や、やぁっ…く…、うぅ…ん、はぁ…あ、あぁ……」
何だかよくわからないけれど、強烈な刺激に、オレは自分の声を抑え切れなかった。同時にオレの
前が勃ち上がってきてしまっている。塔矢もそれに気付いたようで、オレを押さえるように腰に回し
ていた手が、震えるオレを撫でさすり、扱き始める。


(8)
「ひっ…」
くっと先端にツメを立てられた。
「あぁああっ!」
思わぬ刺激にオレは大きな声をあげてしまった。
同時に後から指が一気に引き抜かれた。
突然何もなくなったのが心細いみたいに、オレは抜かれた指を追うように腰を動かしてしまった。
クスリ、と小さく笑う声がしたような気がした。次にカチャリとベルトを外す音が耳に届いて、オレは次
に何が起きるかが分かってしまった。けれどもう逃げられない。オレは怯えているくせに、塔矢の手
に弄られ続けているオレは、オレの意思とは関係なくビクビクと震えている。快感と恐怖とで、オレは
頭がおかしくなりそうだった。振り切ろうと頭を振ると、それに応えるように塔矢の手に力がこもり、更
にオレは追い詰められる。
「と…や…、」
もう許してくれ、そう言いたくて、奴の名前を呼んだ。
ここで許してもらえるはずなんてないって、わかってたくせに。
そして予想通り、オレの呼び声に応えるように、熱いモノがオレの後に押し当てられた。
ぐいっと先端を押し付けられて、それがさっきまで入ってた指なんかと比べ物にならないモノだって
事がわかって思わずオレは逃げようとした。だけど、いつの間にか塔矢の腕ががっしりとオレを押さ
え込んでいて、逃げる余地なんて無かった。
「や、やめ…」
思わず懇願しようとした瞬間にソレがオレの中に進入してきた。
「あ、あぁああーーーー!!」
身体を引き裂かれる痛みにオレは悲鳴を上げた。けれど熱い塊はオレの悲鳴なんかに躊躇もせず、
突き進んで行く。熱くて、痛くて、苦しくて、全身の神経がそこに集中したみたいで、痛い、嫌だ、と言
う事意外、何も考えられなくなった。


(9)
後ろで塔矢が立ち上がる気配がした。
振り返ろうとしたけど、それさえ億劫で、結局動けなかった。
どれくらい、そこでそうしていたのかよくわからない。
長い時間が経ったような気がした。
剥き出しにされた下半身に寒さを感じてオレは小さく震えた。
顔をあげてみると、塔矢はいつの間にか服もちゃんとしていて、足を組んで椅子に座ってオレを見
下ろしていた。
「とう…」
思わず名を呼びそうになってしまうと、あいつはオレを見て薄く笑った。オレを馬鹿にしたように、
冷たく。視線の冷ややかさに思わず震え上がりそうだった。
「いつまでそんな格好でいるつもりなんだ。いい加減、起きろよ。」
冷たい声が浴びせ掛けられて、オレは両手をついてのろのろと起き上がろうとした。
「あっ…」
つっと、後ろから足を伝わり落ちるものを感じて、オレは思わず声をあげてしまった。
あいつはクスッと笑って、丁度あいつの足元にあったティッシュの箱を軽く蹴ってオレのほうへよこし
た。ティッシュで拭ったものを、見なけりゃいいのに見てしまうと、それは白い精液に血の混じったも
ので、見ただけでオレは貧血を起こしそうになった。
「ああ、」
相変わらず冷たい声が降ってくる。
「下痢したくなかったら、中に残ってるのはそのままにしておかない方がいいよ。」


(10)


思わずオレは声も出せずに塔矢を睨み付けた。

おまえが!おまえが、残していったんだろうが!それを!!

「そんな風に拭いただけじゃダメだよ。ちゃんと中のを掻き出さないと。」
あいつはそんなの全然気にする様子も見せずに、平然とオレを見下ろしたまま、更に言った。
「やり方がわからない?別にどうって事ないよ。指突っ込んで広げて掻き出せばいいだけだ。
ティッシュくらいならいくら使っても構わないよ。」
淡々と、何でもない事のように言う塔矢が恐ろしい。
「自分でそんな事できないとでも?でもボクは手助けなんかするつもりはない。つらいのはキミ
の身体だ。好きにすればいい。さっさとしたほうがいいとは思うけどね。
どっちにしてもいつまでもそこで愚図愚図してないで、始末するなりなんなりして、服を着たら
帰ってくれないか。」
冷たい声で残酷な事を言いながら、それなのにオレをずっと見ている。
せめて見ないでいて欲しいのに、ずっと、オレから目を離さない。
仕方なく、オレは震えながら、恐る恐る自分で指を入れた。多分、無理矢理挿れられて引き裂
かれたそこは、触るだけでも痛い。オレは痛みをこらえながら指を進めていくと、何かが(って
あいつがオレの中に出していったものだ)オレの指を伝う。気持ちが悪くて思わずうめき声が出
た。痛くて、気持ち悪くて、オレは泣きそうになりながら、それを掻き出した。でも泣きそうだった
のはそれだけじゃない。
悔しくて、自分が情けなくて、そして、恥ずかしくて。
なんでオレは塔矢の目の前でこんな事をしてるんだ?
(後で思い返して、せめてトイレにでもいってすればよかったんじゃないかと思ったけど、その時
は何でか、そんな事、思いつかなかった。)



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