ゲーム・マスター 6 - 10


(6)
女子を教室から追い出す者、窓とカーテンを閉めて外部から見えないようにする者、机を
コの字に並べる者、そして教室のドアの鍵を閉める者。まるで打ち合わせたかのように手
際よくこなすクラスメイトの姿に、アキラは感心した。
「すごい。皆どうしたの?」
無邪気に喜ぶアキラの姿を嘲笑うかのようにクラスメイトはそっと見つめた。中には舐り
ながらアキラを見つめる者もいれば、興奮を抑えきれず股間を握って耐えている者もいた。
それなのにアキラは今自分がどれだけ身の危険にさらされているか気づかなかった。
アキラはのん気に書記係に記録用ノートを渡すと、いつものように教卓へ立った。
「それでは始めます。えっと、今日の議題は…。田中君、何だっけ?」
頭をかいて照れ笑いしながら、アキラは田中へ聞いた。
「身体検査だよ。ボクらの学級委員長のね」
「え?」
アキラは訳がわからず聞き返した。だがその間にも魔の手が忍び寄っていた。
少年らはアキラを教卓から教室の真ん中へ強引に連れ出すと床へ押し倒した。
「ちょっと皆やめて! はなしてっ」
アキラは抵抗した。だがアキラを取り囲むように集まったクラスメイトによって、アキラ
の体は床にはりつけ状態となった。
囲まれた恐怖とこの状態で抵抗しても無駄なことに気づいたアキラはおとなしくなった。
そして首謀者であろう田中を睨んだ。
「どういうことだ」
田中は不遜げに笑うと、クラスメイトの間をぬってアキラの上にまたがって立った。
「こういうことだよ」
そう言うと田中はアキラの股間を握った。
「イタッ! …やだぁ」
アキラはまたあの時と同様の甘い声でないた。
おもしろくなった田中は、アキラの股間を乱暴にもみしだいた。すると小さい口から甘く
切ない叫び声が何度も発せられた。


(7)
「た…田中君、キミはいったい…何が目的なんだ」
息も切れ切れにアキラは田中に尋ねた。
「目的? だからさっき言ったじゃん。おまえの身体検査だって」
田中はそう言ってケラケラ笑うと、ぎゅっとアキラの股間を握り締めた。アキラは艶っぽ
い声を上げると、目を閉じてその痛みを耐えた。その姿は昨日よりも更に刺激的だった。
「なぁ皆見ただろう? こんな声出すのはやっぱり女かもしれない証拠だぞ」
「ふ…ふざけるなっ。ボクは男だ」
アキラは田中を睨んだ。だが田中はその言葉を待ってましたとばかりに喜んだ。
「委員長さん、あんな声出しといてオレ達が男だって信じられると思うか。まぁ、男だっ
て証拠を見せてもらえるなら信じてやってもいいが」
田中はそう言うとアキラの股間をわざとらしく握った。田中が何を意図しているかわかっ
たアキラは、耐え切れない屈辱に腹がたった。
「ボクが男だという証拠を出したところでキミ達に何のメリットがあるというんだ」
アキラは田中らが幼稚な考えを改めるようにと、まるで教師のような口調で言った。
「メリット? ハハハッ、そんなもんどうでもいいんだよ。これはゲームだ。とにかくオ
レらが楽めれば何でもいいんだよ」
嘲るように田中は笑う。アキラはそれを軽蔑するように睨んだ。
「いいね、その目。委員長さん、頭は良いのにそういうことは鈍いんだね。教えてやろう
か。そういう態度をとるともっと痛い目に合うってことをさ」
田中はアキラのズボンのベルトへ手をかけた。
「ヤッ! イヤー!」
アキラは叫び、もっている力すべてを使って暴れた。
「グダグダ言ってねーでさっさとチ○ポ見せろ!!」
教室にはアキラの叫びとともに、クラスメイトの下卑た笑い声が響いた。


(8)
抵抗らしい抵抗もできないまま、アキラはベルトを抜き取られ、ボタンを外された。
「おまえら、よーく見てろよ」
田中はそう言うとファスナーを下ろした。ジジッという音をたてながらおりたファスナー
の間から下着が見える。田中はそれをズボンごと一気にずりおろした。
クラスメイトは無言でそれを見つめた。やっぱりなとガッカリするもんだと思っていたが、
まだ毛の生えていない艶やかな白い肌をしているアキラのそこは、思わずふれてみたくな
るほどきれいで、自分たちのものとは異質なように感じられた。
田中はそっと手を伸ばしてそれを掴んだ。田中の指の感触をアキラは歯を食いしばって耐
えた。声を出せば更に行為がエスカレートするとわかったからだ。
田中は初めてふれる自分以外のものに興味津々だった。夢中になってそれを弄繰り回す。
「やっぱ本物だよな、それ」
佐藤はじっとそれを見つめる。
「本物かどうか自分でさわって確認してみろよ」
田中に手を引かれ、佐藤はためらいつつもアキラのそれにふれる。汗ばんだ手でそれを握
り締めた佐藤は、偽物じゃないか引っ張った。
「あ、引っ張っちゃヤダぁ…」
アキラは涙ながらに懇願した。だがその声で佐藤の体は一気に熱くなった。
「どうしよ、オレ。塔矢が男だってわかったのに…」
佐藤は股間を押さえて自分の欲望を止めようと必死になった。だがそうなっているのは佐
藤だけではなかった。
「おい、皆何マジになってんだよ。これはゲームだぞ、ゲーム。もっと気楽に楽しんでい
こうぜ」
教室の重苦しい空気に気づいた田中は、なんとかそれを取り払おうと明るく盛り上げる。
だが皆深刻そうな顔をして股間を押さえるばかりだった。
「よし、おまえら全員そこに並べ。これからゲームを始める」
呆れた田中は輪から抜け出ると黒板へ向かい、チョークでトーナメント表を書き始めた。
「題して“カンチョー選手権”だ!」
「“カンチョー選手権”?」
首をかしげるクラスメイトの前で、田中は楽しそうにルールを説明し始めた。


(9)
「ルールは簡単。誰のカンチョーが一番塔矢をなかせることができるかだ」
田中は手についたチョークをきれいにはらうと、またアキラのものとへ戻った。そしてう
つぶせにさせるよう指示する。
「いいか? オレが見本やるから見てろよ」
田中はそう言うとアキラの尻へカンチョーした。
「アアンッ! …痛い、こんなのやだぁ」
田中の指を直に感じたアキラは切なげに、だが少し気持ちよさそうに甘い声でないた。
「この声がでかいほど勝ち。それにおまえらもやってみたかっただろ、塔矢にカンチョー
をさ」
アキラの形のよい尻をぺちっと叩いて田中はクラスメイトの顔を見た。
普段真面目で近寄りがたいアキラが、今は尻を丸出しにしてカンチョーされてよがってい
る。そのギャップとアキラの体への興味から、皆やる気満々の明るい表情になった。
再び活気に満ち溢れだした教室の雰囲気に、田中もやる気をだした。
「よし! そうと決まれば準備に取りかかろうぜ」


(10)
机を教室の真ん中へ持ってこさせると、田中はアキラをその上にうつぶせに乗せた。
「キミ達は今自分が何をしているのかわかっているのか? こんな馬鹿な真似はやめろ」
これから本当にそれが始まるのかと思うと恐怖で、アキラは何とか諭そうとした。
「うるさいな〜。だから言ってんだろ、オレらが楽しければいいって。っていうかそんな
偉そうなこと言って、ただカンチョーされんのが嫌なだけなんだろ」
田中はそう言うと教卓の引き出しからガムテープを持ってこさせた。
「な…何をする気だ?」
怯えた表情をするアキラに田中は語り始めた。
「オレ蝶々好きなんだ。アゲハチョウとかさ、羽がキレイじゃん。で、捕まえたら虫かご
にしまうんだ。でもさ、それでも逃げようとするんだ。当たり前といえば当たり前だけど、
こんなに好きなのにそんな態度とられるとムカツクっていうか、絶対逃がさないって気分
になってさ。針で逃げないようにとめておかないと気がすまないんだ」
ガムテープを楽しそうに破りとった田中は不気味に笑った。
恐怖に耐え切れなくなったアキラは、なりふり構わず逃げようと試みた。だがすぐに取り
押さえられ、机の上に戻される。
「もう逃げらんねーよ」
田中は笑うとアキラの手足を机の脚にガムテープで固定した。



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