ウェルシュ・コーギー 6 - 10
(6)
それから塔矢ん家の庭でポチと遊んだ。
ピンクのビニールボールを投げてやると一生懸命追いかけて
またこちらへところころ転がして戻ってくる。
そしてまた「投げて」と催促するように「アン!」と鳴いて見上げてくる。
なかなか賢い犬だ。
ひとしきり遊んだ後、塔矢の部屋でこの間の手合の検討をしたり、
他愛のない話をしたりして過ごした。
その間もポチはオレたちにまとわりついて遊んで離れない。
「子犬は元気だな〜」
「そうだね。飼い始めてボクもびっくりすることばかりだよ」
また検討に熱中し始めるてふと気がつくと、
さっきまで走り回っていたはずのポチが、縁側の日当たりのいいところで丸くなって寝ていた。
「ははは、猫みてェ」
「寝て食べて遊ぶことが仕事だからね。人間の子供と同じさ」
「かわいいな〜」
そのあどけない寝顔をうっとりと見ていると、横から塔矢の視線を感じた。
「何?」
「いや…可愛いなあと思って」
「だろ?」
「いや、犬じゃなくてキミが」
「はぁ?!」
突然何を言い出しやがる。コイツは。
耳まで赤くしながらオレは抗議した。
「そ、そーゆうことは言うな!」
「何で?思ったことを言っただけだよ」
「だからそれがヤなんだよ!思っても言うな!恥ずかしいだろ!」
「…照れなくてもいいじゃないか。誰もいないよ?」
「!!!」
もうダメだ…コイツには何も通じない。
オレはがっくり肩を落して項垂れた。
(7)
「進藤…」
すぐ耳の後ろから塔矢の声が聞こえたかと思うと、後ろから抱きしめられた。
「と、塔矢!」
驚いたオレは咄嗟に逃れようとしたが、さらに力を込めて抱きすくめられてしまった。
「な、何?」
赤く火照る顔を悟られたくなくて顔を逸らしたまま訊ねる。
「進藤、いい?」
掠れるような声でそう言われると、ぐっと体の中心の体温が上がった。
「だ、だから何が?」
「とぼけてもダメだよ。わかってるくせに」
こうなった塔矢はもう止められない。と経験でわかる。
恥ずかしいからなるべく避けたい行為だけど、でも…嫌いなわけじゃない。
むしろ行為が始まってしまえばあまりの気持ちよさに自分から「もっと」と
強請ってしまうこともある。
それに、最中、塔矢はとてもやさしくて、オレのことが好きだってことが
バカみたいに伝わってきて、はっきり言うと嬉しい。
それがわかってるだけに拒みきれない。
今回もハッと気がつくといつのまにやら畳の上に押し倒され、
口を塞がれていた。
(8)
塔矢の舌がオレの舌を執拗に絡め取ろうとする。
口内を犯され舌を据われて、背中に甘い痺れが広がり始める。
「んぁ…ん…ンん…」
苦しくて息が漏れる度に自分の変な声がする。
それを聞くたびにたまらなくなって逃げ出したい気持ちになる。
でも、時期に頭がぼーっとなってきて、そんなことすらわからなくなる。
そうなれば、オレはもう塔矢のなすがままだった。
「んあ…」
塔矢の唇がいったん離れた。
無意識に塔矢の舌を追いかけるように舌を伸ばした。
それを見た塔矢は微笑んで
「進藤、いやらしい顔してるよ」と言ってもう一度キスをくれた。
塔矢はオレを後ろから抱えるような体勢に変えると、
Tシャツの裾をまくって直接オレの体に触れ始めた。
大きな手で直に肌を弄られると、腰のあたりから痺れが全身に広がる。
そしてまるで麻酔をかけられたみたいに動けなくなる。
やがてその手はジーンズのボタンへと伸び、オレの下半身を空気に晒した。
オレは塔矢がこれからしてくれるであろうことを素直に期待して、
その快感を待ち焦がれた。
(9)
あれ…?どうしたのかな?
いつもと違う。
「ふうん…とおやぁ…」
鼻から抜けるような声を出して甘えてみても、望んだ快感がもらえない。
「…?」
違和感に我に返ると、両腕が後ろ手に縛られている。
「な…に?」
朦朧とした頭で自分の今の状態を把握しようとした。
下半身は裸で思い切り開脚させられている。反対から見れば何もかも丸見えだ。
しかしおかしいのはそこからで、両腕が後ろでひとつに縛られ、後ろにいたはずの塔矢がいない。
代わりに背中には壁があり、そこにもたれかかるような体勢を取らされていた。
「とうや…?」
塔矢を探すと、すぐ横に微笑みをたたえた彼がいた。
オレは早く塔矢にしてもらいたくて、抗議しようとしたけど上手く体に力が入らない。
と、さっきまで寝ていたはずのポチが目をキラキラさせながらこっちを見ているのに気がついた。
「ポチ、GO!」
塔矢の涼やかな声が部屋に響いた。
「え…何?」
その声を聞いたポチは嬉しそうにオレの股間めがけて走って来た。
「ひゃっ!!」
あまりのことにものすごく間抜けな声を上げてしまった。
だって、ポチはそのままオレの股間にその可愛らしい顔を埋め、
快感を求めて立ちはじめていたオレ自身をペロペロ舐め始めたのだ。
(10)
「…っ…!…!!」
声にならない。
刺激を待ちわびたペニスは、子犬からのせわしない愛撫(?)にたまらず
正直な反応を示し始めた。
ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ…。
「はぁっ…!やぁ!…っ!…ぁン!」
勃起したそれは、押し寄せる快感にふるふる震える。
恐ろしいことに、ポチは、小さな舌先で、可愛い鼻先で、オレのイイところを的確に舐め上げてくる。
こんな、こんなことって。オレ…子犬に犯されてる?
そんなことを思ったのも一瞬で、一気に登りつめさせられたオレは
目の前が真っ白になって、びくびくと白い精を吐き出した。
「はぁ…はぁ…」
己の荒い息で我に返ると、そこにはちょこんとお座りをして得意げな顔をしたポチがいた。
どう除けたのか、その体にはオレが吐き出してしまったモノがどこにも付いていなかった。
よかった。危うく子犬に顔射してしまうところだった…。
って、そんなこと心配してる場合じゃないだろう。
ふと気がつくと、塔矢がうっとりとした顔でオレを見つめてる。
「進藤…可愛いよ…」
その手にはしっかりとデジカメが握られていた。
こいつまさか…。
「可愛い子犬がキミの可愛いアソコを舐め上げて責め立てる姿…
快感にたまらなくなって目尻に溜まった涙。喘ぐ唇。桜色に上気した
白い肌。ああ、なんて倒錯的な光景なんだ。最高だよ、進藤…」
塔矢の目がイっちゃってる…。
前から変態だとは思ってたけど、こいつにそんな趣味があったとは。
オレは相当ヤバイ奴を選んでしまったのかもしれない…。
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