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(6)
 二人で、ふざけて水を掛け合ったり、潜りっこをしたり、その度、高い声で進藤が笑う。
かけた水が、進藤の顔を直撃した。
「もう!やめろよ!塔矢!」
進藤が、怒ってボクを打つふりをした。もちろん、本気じゃない。その証拠に口元が笑っている。
「ゴメン、ゴメン…」
ふざけて謝ると、進藤はボクの頭を思い切り水の中に沈めた。
 く、くるしい………足は着いているし、水は腰より少し上くらい。おぼれる心配はないけど、
苦しいモノは苦しい。ボクは空気を求めて、水の中から飛び出した。
ゼエゼエと息を吐くボクの顔を進藤が心配そうに覗き込んできた。
「…………ゴメン…大丈夫?」
「大丈夫」と、進藤を振り仰ごうと顔を上げたとき、薄いピンク色の突起が目に飛び込んできた。
ボクの顔の位置と屈み込んだ進藤の胸がちょうどぶつかったのだ。
 濡れたTシャツが肌にぴったりと張り付いて、そこからボンヤリと肌や、胸の飾りが浮かび
上がっている。ナマで見るより更に妖しさ大爆発。
 鼻血を拭いて、昏倒しそうになったが、ぐっと堪えた。
「…………進藤、やっぱりTシャツ脱いで………」
鼻血は出てないだろうが、とりあえず手で押さえる。
「えぇ―――――――!なんだよぉ!ワガママだぞオマエ!」
「ゴメン………」
「ヤダよ!シャツ濡らしただけソンじゃんか!」
 進藤が怒って背中を向けてしまった。綺麗な肩胛骨の形まで、ハッキリわかる。
 マズイ………このままでは、ボクは海から一生出られない。進藤もボクも水着はセミロングの
スパッツだが、こんなことなら、ダイビングスーツでも着せておけばよかった。

 「進藤………ちょっと……」
「わ…!何すんだ!?」
ボクは、進藤の手を引っ張って、人気のない場所を探した。


(7)
 「なァ…どこ行くんだよ……?」
ざぶざぶと、海の中をどんどん人気のない方へと歩いていくボクに、手を引かれながら、
不安そうに進藤が訊ねてきた。
 でも、今のボクに答える余裕なんかナイ。とにかく早く何とかしなくては………暫くすると
恰好の岩場を発見した。そこは、浜辺から少し離れていて、岩があちこちせり出している。
 ボクは、なるべく平らな岩を探した。出ないと、怪我をしてしまう。あっちのアレ、ちょうど
いい感じ………。平べったくて、都合よく周りを他の岩で囲まれている。岩が太陽を遮って、
陰になっている。ここなら外側からは、まず見えないだろう。

 「なぁ、こんなところで何するの?あっちの方で泳ごうよ………」
進藤が、焦れて、浜辺の方を指さした。
 それを無視して、ボクは岩の上によじ登り、進藤に手を差し出す。彼は訝しみながらも、
ボクの手を取った。強く手を引いて、進藤を引っ張り上げると、そのまま彼を抱きしめた。
 「と、塔矢!?」
ビックリしている彼の耳に息を吹きかけながら、そっと囁いた。
「進藤……したい………」
 そう言って、股間の固まりを進藤に押しつけた。
「や………ダメだよ………」
進藤がボクから逃げようと身を捩った。が、ボクは彼を抱く腕にますます力を込めた。
「ガマンできないんだよ………」
「ダメ………」
ボクはまだ何か言おうとする彼の唇をゆっくりと塞いだ。


(8)
 オープンな様に見えるが、意外にも進藤は古風だった。まず、ボクの部屋以外では、どんなに
頼んでも要求に応じてくれない。たまに、進藤の両親が留守のときは、彼の部屋で交渉を持つことも
あるが、それ以外はけんもほろろに撥ね付ける。それは、彼の純情さの表れで、最初の頃は
恥ずかしがって明るい中では絶対させてくれなかった。
 ボクは、普段の開けっ広げな彼からは想像も出来ないほど、慎ましやかなその仕草や、
恥ずかしげな表情を堪能し、そして、こんな進藤を知っているのは自分一人だという優越感に
浸った。
 その彼に、野外でしかも燦々と陽射しが照りつける中、行為を要求する。
「ね?頼むよ………」
ボクは何度も繰り返し囁きながら、彼の背中や脇腹をまさぐった。その間もボクの中心は
どんどん昂ぶっていく。
 それをグイグイ押しつけると、その熱が進藤にも伝染していくかのように、彼の体温も
高くなってきた。
「あ………」
小さく喘いで、進藤は喉を仰け反らせた。腕の中の壊れそうに華奢な身体が小さく震えた。
「進藤………」
名前を呼ぶと、進藤は小さく頷いてボクに身体を預けてきた。


(9)
 進藤の濡れた髪や額、頬に口づけを落とす。いつもの彼は、どこもかしこも砂糖菓子のように
甘いのに、今日はどこを舐めても海の味しかしない。
「進藤、しょっぱい………」
「オマエだって、塩辛いよ。」
進藤も負けずに言い返してきた。小さく突き出した唇に、素早くキスをした。別に、しょっぱいのが
嫌なわけじゃない。こんな進藤も新鮮だ。

 ボクは、進藤の濡れたTシャツの下に手を滑り込ませた。
「ン………ッ」
Tシャツを通して、ボクの手が透けて見える。その手が、進藤のピンク色の可愛い乳首に
悪戯をしている。
「ア…あぁん………」
ボクの指の動きに合わせて、進藤が艶を含んだ濡れた声で喘ぐ。
 進藤の足がガクガクと震え、快感に耐えきれなくなった彼は、ボクの肩にしがみついてきた
「ァ、ヤダ………やぁ……」
 可愛い進藤。ボクは彼の前に跪いて、水着をゆっくりと脱がしていった。


(10)
 ボクは進藤の腰を抱き寄せ、彼のペニスを口に含みながら、後ろへ愛撫を施した。
「はぁ………とうやぁ………」
進藤がボクの頭を抱え込む。ボクは口の中の進藤自身への愛撫に合わせて、後ろをほぐした。
 海から上がったばかりの彼のそこは、しっとりと濡れていて、ボクの指をたいした抵抗もなく
呑み込んでいく。
「あ、う……」
進藤が喉を仰け反らせて、小さく呻いた。
 「あ、ァ、やぁ………!」
進藤の身体がビクビク震えている。
 ボクは、彼の身体をひっくり返して、岩に手を付かせるようにして立たせた。
「いい?」
ボクの言葉に進藤はコクンと頷いた。唇からは、ハアハアと荒い息が吐かれるだけで、話すことが
出来ないようだった。
 
自分のモノをヒカルの後ろにあてがい、少しずつ押し入る。
「ン……とおやぁ………アァ――ッ」
ボクが自分を完全に埋没させると、進藤の呼吸は一層忙しなくなり、胸の鼓動が肌を通して、
伝わってくる。



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