粒くらべ 6 - 10
(6)
一方で、奥に行くほどその淡い痛みと押し広げられる圧迫感が溶け合って、
今まで感じたことのない奇妙な感覚も生まれて来ていた。
やがて自分自身の全てをヒカルに飲み込ませると、アキラは静止した。
「すごい…、進藤の中、いつもより熱い…ドクドクいっている」
確かに緊張感でいつもよりさらに感度が増しているようなところはあった。
「…もういいだろオ…、早く抜いてよ…っ」
ヒカルにしてみれば何かゴリゴリして小石を詰められているようで
落ち着かなかった。やはり、もっと滑らかで優しい感触が欲しかった。
そうでないとイけない気がしたのだ。
「ダメ?あまり気持ち良くない?」
「いいわけないだろっ、こんな…」
ヒカルが怒ってアキラに言い返そうと身をよじった時だった。
「…んっ…」
内部で密接した粘膜と数多くの突起らが一斉擦れ合う刺激が走ったのだ。
(7)
「どうしたの?進藤…こうしたほうがいいのか?」
嬉しそうに笑みを浮かべながらアキラはゆっくりと腰を揺らし始めた。
「あっ…ひっ」
びくんとヒカルが背を反らした。カタカタと小さく肩が震えた。
再び何本もの爪に内部を一斉に掻かれるような感覚が走った。
すると次にアキラは腰を引いてそれを抜きにかかった。
「あーーっ…!」
奥から出口にかけて何本もの爪が同時に腸壁をなぞり、抜けかかったところから
再度アキラが侵入を始めると今度はそれらが内部に向かって走り出す。
次第にアキラがその動きを速めていく。
「とっ、塔矢…っ、ダメ…っ」
ベッドに顔を突っ伏してヒカルが首を必死に左右に振るが、ヒカルの腰を抱えた
アキラの動きは更に激しくなっていくばかりだった。
「ヤだっ…あっ…、熱い…っ…熱っ」
爪で掻かれている一つ一つの箇所が火を放ってヒカルの内部を焼いた。
「うあーーっ…」
その炎が一つの塊になって火柱のように膨らみヒカルの内部を炙った。
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「はふっ…ふうっ…ん、んっ…」
もうアキラに揺さぶられる毎に鼻に掛かる吐息しかヒカルは出せなくなっていた。
最後に数回アキラが音が出る程強く腰を打ち付けヒカルの中を抉ると
「うううーーーーっ…」
一瞬更に大きくヒカルの背が仰け反り、次に全身が震えて前方に崩れ落ちた。
下腹部の奥が溶けるように熱かった。荒く呼吸をするヒカルの背中一面が汗ばみ濡れていた。
「凄いね、進藤…。全然前に触っていなかったのにイケたんだ…」
感心するようなアキラの言葉にヒカルの全身がカアッと赤く染まった。
今まではいつも自分の中にある特殊な場所があって、それとアキラのモノの
一部分が触れあうのが気持ち良く、他の大部分はあまり感覚がないと思っていたのだが、
今回のように内部のいろんな箇所を同時に強く刺激された事で一気に何かが
爆発するような強い衝撃があった。
まだ興奮が冷めずに激しく脈動しているヒカルの体内から、アキラは自分を一気に引き抜いた。
「う、あっ…」
最後の爪の一掻きにヒカルはびくりと腰を震わせた。
その時、正直、もう一回くらいいいのに――という物足りなさがあった。
(9)
それでもアキラがコンドームを外すのを見て、そうだ、今度はアキラのが直に来るんだと
思い直し、ヒカルは頬を上気させて体を仰向けにし自分で膝を抱えてアキラを待った。
さっきの激しい熱が自分の中で蠢いている。それを鎮めて欲しかった。
次の瞬間ヒカルは小さく悲鳴をあげた。
アキラがゴーヤ状のコンドームを装着しているのを見たからだ。
「やっ、ヤダよっ…!」
ヒカルはアキラに向けて開いていた脚を閉じ、両手で膝を抱え込んだ。
「せっかくだから、こっちも試してみようよ。さ、進藤、いい子だから」
「…ダメ…絶対ヤだ…っ」
ヒカルは首を左右に振り身を縮こませた。
「でも、君のここは…試してみたいって言っているよ。ほら」
仰向けに膝を抱えている進藤の閉じ合わせた腿の谷間を指でそっと撫でながらその
熱を持った中心に押し込むと、そこは一気にアキラの指を吸い込もうとして
直ぐにアキラは指を引き抜く。
次にアキラが無数の粒で被われた自分のモノで同じ場所を突いた。
「…ヤ…だ…っ」
ざわざわとブラシのようなもので撫でられている感じにヒカルは腰を引いた。
(10)
ヒカルは抗議の眼差しでアキラを睨むが、アキラはそれでも優しい笑顔を浮かべ、
膝を抱えるヒカルの両手をそっとそこから外させ、両足首を掴んで左右に開かせた。
その中央にあるヒカルの分身にうす緑のグロテスクな物体がぴたりと押し当てられた。
「ヤだってば…塔矢ア…」
ほとんど涙声でヒカルはアキラに訴えたが、さわさわとアキラにまだ今熱を吐いたばかりで
熱っぽく喘いでいるヒカル自身をうす緑の物体でざわりと触れられる度に、ヒカルの体の
奥深くが疼いた。
ヒカルの肉体自身がそれを拒否し切れず、アキラにその事を見抜かれていた。
「大丈夫…少し入れてみて、本当に進藤が嫌だと思ったら直ぐに止めるから」
「…絶対に…?」
アキラはこくりと頷いた。今までの経験で下手に突っぱねると彼を怒らせてしまい
かえって酷い事をされるハメになるのをヒカルは怖れた。
「じゃ、じゃあ…先っぽだけ…それ以上は絶対ダメだからな」
「わかったよ。もっとここ…開いて…」
アキラは更にヒカルの両膝を開かせて胸に突かせる程体を折ると、粒ツブに被われた先端を
ヒカルの中央に宛てがった。
「見た目よりも、この粒ツブは柔らかいんだよ。傷はつかないから、進藤、力を抜いて…」
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