社妄想(仮) 6 - 10


(6)
「ふぁっ……」
産毛だけに触れるようなもどかしい感触に、ヒカルは身を捩る。
そのまま指を耳へと滑らせ、耳の裏を行き来する。
ヒカルが声を堪えるように唇を噛むのを見て、社が耳許で囁いた。
「心配せんでも最後まではやらへん。それは後にとっとくからな」
そして素早くヒカルの耳朶を口に含むと、わざと音を立てて舐めた。
ヒカルが苦しげに眉を顰めるのを見て、更に耳の奥へと舌を滑らせる。
「やっ……あ、……や、やだあぁっ!」
聴覚まで犯されるような感覚に、ヒカルは堪らず嬌声を上げた。
瞳からは絶え間なく涙が零れ落ちる。
社はヒカルの前髪の一房を掬うと、眦に残る涙をそっと吸い取った。


(7)
「キレーやな。男にしとくの勿体無いわ」
目を細めて笑う社の表情は、一見するだけならきっと人懐っこく見えるに違いない。
けれど今のヒカルにはその笑みが無気味なものにしか見えなかった。
火が灯っているかのように熱く火照る身体を懸命に捻って、少しでも社との距離を取る。
だが、それを見た社が面白く無さそうに眉を顰め、ヒカルの肩を掴んで地面に突き倒した。
余りの衝撃にヒカルの呼吸が一瞬止まる。
覆い被さってきた社の手が下半身に伸びるのを感じて、ヒカルは薄れる意識を必死にとどめた。
だが、頭にまで昇ってきた衝撃の余波がヒカルの身体の自由を奪い、社の手に容易く衣類を取り払わせた。
「や、…いやだ………」
露にされた下半身を隠すように、堅く閉じた膝を上半身に引き寄せる。
だがそんな抵抗もあっさりと封じられ、社は両足の膝頭に手を置くと、それを左右に開いた。
ヒカルは恥ずかしくて、惨めで、情けない気持ちでいっぱいになる。
「感度良好、やな」
耳許で囁かれる言葉に、涙を滲ませてヒカルは顔を背けた。
ヒカルのそれは白濁の液体を零し、屹立していた。


(8)
下腹部をなぞる指の動きにヒカルは堪らず目を閉じる。
そうすると、神経はより過敏になってしまう事を経験から知っていたが、目を開けて否が応にも視界に入ってしまう光景を見る方がもっと不快だった。
ヒカルの細腰を抱え上げ、背筋から滑らかな曲線を描く臀部を指でなぞる社の愛撫は
羽が掠めるような繊細なもので、全身が総毛立つような感覚にヒカルは声にならない悲鳴を上げる。
肝心な所に触れてくれないのがもどかしい、ヒカルはそう思って、次にはそんな自分を恥じた。
太股を同じように指先が彷徨った後、足の付け根に程近い部分に熱く濡れたものが触れた。
舌先の滑った感触に知らず腰が浮く。
その瞬間を狙ったように、反った胸の小さな尖りを服の上から強く爪弾かれた。
「……っ、ぁんっ!」
くくっとくぐもった笑いが聞こえる。
反射的にヒカルは目を開けて社に怒鳴り付けていた。
「何がおかしいんだよっ!」
するとさも心外だと言わんばかりに社は肩を竦めた。
「別に。気に触ったんか? オレはただ同じ男でも随分反応が違うもんやなーって感心してただけ」
「同じ、男……?」
ヒカルが怪訝そうに問いかける声を無視して、社はヒカルのシャツに手を掛けた。


(9)
乱暴に捲り上げられるそれが胸の突起を強く擦り、ヒカルは息を飲む。
そして、次に来るであろう刺激に目をぎゅっと瞑り身を堅くした。
だが、それはなかなか来ない。
ヒカルが恐る恐る目を開けると、社がじっとヒカルの身体を見ていた。
だがそれは嘗めまわすような、と形容するよりはむしろ、子供が初めて見るものを
珍しげに観察するような、そんな視線だった。
酷い事をされていると解っているのに、ヒカルは何故か社を憎めなかった。
それは社の目が、不思議と曇っていない所為かも知れなかった。
声を掛けてきた瞬間から、社の人格が豹変したとは思えない。
怖いと思うのは、彼が隠していた醜さや卑しさを突然露にしたからじゃなく、
それまでと何の変化もなくヒカルに触れてきたからだ。
幼い、いとけない子供が、知らずに残酷な事をしているような────。
ヒカルの顔から血の気が引いた。
そういうのが一番タチが悪いんじゃないか? ──そう気付いたからだ。
ふと見上げると社と目が合った。
彼の表情が微かに変化したと思った次の瞬間、ヒカルの視界いっぱいに社が広がった。
社のキスは優しい。優しくされていると思う。
腕を縛られたり、薬を盛られてもそう感じるのは社の目が、与えられる愛撫が優しいから。
力加減が解らないで酷くしてしまう、そんな印象がどうしても拭えないから。
だが下半身の疼きが同調するように酷くなるのは、もう耐えられない。
彼の愛撫がどんな意味を持つにしても、自分はこの行為を受け入れたくないのだ。
ヒカルは淋しそうに眉を顰め、もう一度目を閉じた。


(10)
「っつ……!」
社が驚いて身を引いた。
口元を拭った袖に血が染みを作る。
「やってくれるやないか」
社はヒカルの腕を乱暴に掴んでその身体を引き起こすと、顔を上げたヒカルの顎を捕らえ、
手で口を開かせて、自分のモノを無理矢理ねじ込んだ。
思いもしなかった社の行動にヒカルは一瞬驚いたが、口腔に広がる苦みと
息を継ぐ事の出来ない苦しさに頭を振って逃れようとした。
すると、両手で頭を固定され、激しく前後に揺さぶられる。
「う…んっ、うぅ、ン……ん、んぅーーっ」
時々喉の奥の方を突かれて込み上げる吐き気や、余りの息苦しさにヒカルの眦から生理的な涙が零れた。
先程、社にほんの少しでも気を許してしまった自分を、ヒカルは馬鹿だと思った。
触れ方なんて関係ない。
今こうして自分を犯している相手に気を許すなんてどうかしている。
脳裏に、彼が浮かんだ。
自分が悪い訳ではないのだろうけど、ただ申し訳なさが募る。
相手を無理矢理動かすよりも自分で動いた方がより効率良く快楽を得られると気付いた社は、
ヒカルの小さな口の温かさに酔いしれ、夢中で抽挿を繰り返す。
充分な固さと大きさをもったそれがヒカルの口腔を荒々しく掻き回す度に、ヒカルの喉から
くぐもった喘ぎが洩れ、それと共に嚥下出来ない唾液と社の精液の混じったものが絶えず零れ落ちた。
何度も突き入れられる内に、犯されているという感覚が昂って、ヒカルの身体もうっすらと色付き、
反応を示し始める。
やがて、ヒカルの頭上で聞こえる息遣いが、徐々に荒くなってきた。



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