ほしいまま-欲儘- 6 - 10


(6)
塔矢の舌がそこに触れた。
電流がそこから頭のてっぺんまでつきぬけた感じがした。
ぬるりとして、柔らかいものが、オレのその穴のあたりを、這ったり、
圧迫したりする。
その刺激が、受け入れる場所に近ければちかいほど、もっと直接的な刺激が欲しくて
その先を期待して、大きな声をあげてしまう。
塔矢の馬鹿がオレの尻に歯を立てた。
痛いよ、馬鹿、本当に喰っちまう気かよ、いいけどな。
そうすりゃ、ずっといっしょにいられるな。
突然、オレの中に、何かが突き入れられた。
ペニスほど、熱くも太くもない。
指だ。塔矢の指が2本。オレの中に入ってきた。


(7)
塔矢の指はオレの中でグッと曲げられ、ただ1箇所を刺激してくる。
一番神経を直接刺激する場所だ。
こうなると、もうオレの声は止まらなくなる。
悔しいけど、塔矢のされるままに泣くしかなくなる。
それまで、塔矢のモノをつかんでしごいていた手にも力が入らなくなって、
オレはみっともなくも、塔矢の太ももにすがりついてしまった。
でも、まだ足りない。
もっともっと欲しい。肝心のモノはお預けかよ。
オレが欲しいのはこんな生ぬるいもんじゃないよ。
もっと奥、体の中心まで入ってこいよ、早く!
ああ、もうまどろっこしい!
オレは起き上がると、反対に塔矢を組み敷いた。
体勢がかわったので、当然塔矢の指はそこから抜けてしまったが、
オレの本命はそんなもんじゃない。


(8)
もっと一番熱いお前をオレによこせよ。
囲碁でもセックスでも、お前が一番熱くなる相手は
オレじゃなきゃ嫌なんだ。
おまえだってそうだろ?
オレは塔矢には有無をいわさず、馬乗りになり、そのままきつく立ち上がってる
あいつの男を掴んで、オレの体の入り口に押し当て、そのまま体重をかけて飲み込んだ。
これだよ、オレの欲しかったのは。
世界で一番熱い塔矢。
オレだけの。離したくない。
もっとそれを奥に銜え込もうと、オレが腰を深く落とすのを塔矢の方が
待ち切れず、腰を揺すりはじめた。
ホラ見ろ、お前だって欲しくて限界だったんじゃん。
こんな時に指で前戯なんてかっこつけた真似するんじゃねぇよ。


(9)
オレも塔矢も、後はさっきしゃぶりあってた時と同じだった。
お互い自分の快楽を追うのに夢中になって腰を振って、相手が気持ちいいかなんて
気にしない。実際に気にするどころじゃない。
もっと深く、もっと奥へと塔矢を導き入れる。
もっと塔矢を飲み込もうとして、腰を揺する度に、
火のように熱いあいつのそれがオレの中のいろんなところに当たって、
熱をまき散らし、知らないうちに、声が上がっている。
いい所にあたった瞬間の塔矢の熱さがもっと欲しくて、塔矢が腰を引くのを
名残惜しく追いかけて、腰を揺する。
そのままできるんなら塔矢の全部を自分の中に入れて、逃がしたくなかった。


(10)
欲しい。欲しいんだ、もっと。熱いお前が。
体の中の熱よりも、そうやってお前がオレに熱くなってるのをみるのは
めちゃくちゃ気持ちがいいんだ。
体の中全部がそんな塔矢に満たされればいい。
ほんとに、いっそ塔矢を喰っちまおうか。
オレは上半身を倒すと、塔矢の肩に噛みついた。
さっき、しりに噛みつかれたお返しだ。
塔矢もオレの反対側の肩に噛みついた。
なんだかこうなると、犬のケンカみたいだな。
塔矢の手がオレの後頭部に回り、髪の毛を掴んだ。
次の瞬間には、乱暴に体勢が入れ替えられ、オレは塔矢の下に組み敷かれていた。



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