散光 6 - 10
(6)
椅子は背もたれの上にさらに頭を乗せる部分がついたものだった。
ユン先生が座席の下のレバーで背もたれをいっぱいに倒した。
ひじ掛けの上のアキラの両手の上に自分の両手を添えるように乗せて、片膝をアキラの
腰掛けている脇についてしばらくの間アキラの唇を貪るようにキスをしていた。
その部屋の窓からも桜の花が見えた。
先生はキスを重ねながらアキラの両手をアキラの頭の方に持って行った。
「…?」
アキラは、何かできゅっと左手首が締まるのを感じた。
「先生…?」
続いて右腕が動かなくなった。背もたれと頭を乗せる部分の間の金具の向こうに
革ヒモのようなものがあって片手で何かをそこに縛り付けられるようにされていたのだった。
「あまり動くと、締まり過ぎるからね。」
先生はあくまで優しい笑顔を崩さなかった。だがアキラは背中に冷たい汗が浮き出るのを感じた。
「嫌です…縛られるのは」
アキラは手を動かそうとした。だが引き抜こうとしても手首の周囲の圧迫感が増すだけだった。
先生はハンカチを取り出すとまだその分の余裕のある手首とヒモの隙間に丁寧に詰めた。
「ユン先生…!」
アキラの上にのしかかり声を止めるようにキスで再びアキラの唇を塞ぎ味わうと、
傍らの窓際の机の引き出しに手を伸ばし中からもう一枚大きめのハンカチを取り出し、
アキラの口に噛ませて頭の後ろで縛った。
(7)
そうしてアキラの両膝を開かせ、その間を割るようにしてユン先生は立つと、
しばらくの間椅子に縛り付けられハンカチを噛ませられたアキラをじっと眺めている。
アキラは不吉な予感に高められる自分の心音を聞きながら目を閉じた。
先生の目が、怖かった。
「無理な事はしない」という言葉が今ではどこまで信じられるのか分からなかった。
カチャリ、と小さく金属音がした。アキラにはそれが何の音か分かっていた。
自分の制服のズボンのベルトが外される音だ。そしてファスナーが下ろされる音がした。
温かい先生の手が、その中に滑り込んで来てアキラは身体を強張らせた。
「…先が少し濡れているよ、塔矢」
カアアッと頬が上気していくのが分かる。
「嬉しいよ。君はやはり見込んだだけある」
先生の手全体でアキラの膨らみが優しく撫で摩られる。
ひんやりした柔らかい袋の部分の中央で熱を貯えて固く変化しつつある部分があった。
先生の大きな手がその部分を押し包み圧迫し、緩め、指先で先端をくすぐり、こねるように揉む。
執拗に刺激を加えられて、ハンカチの隙間からアキラが耐え切れずに吐息を漏らし始めた。
「気持ちいいんだね、塔矢。」
指先に絡み突き出す雫を舌で嘗めながら先生はすっかり立ち上がったアキラの淫芯を
速度を速めて抜き出す。
「く…んンっ」
小さくアキラが唸って腰を浮かした。先生の手から逃れようと左右によじる。
「あまり暴れると、制服が汚れてしまうよ。塔矢」
(8)
手の動きを速めながらじわじわとアキラを追い詰める。先端からとめどなく雫が溢れだし、
内またを震わせてアキラが小さく呻いて達しようとした時、先生はカチカチになった
アキラのペニスの根元をきつく握りこんだ。
驚いたようにアキラは目を見開いた。
筋肉が収縮してほとんど外へ吐き出される寸前だった体液は深い部分で元に押し戻されて行った。
鼻と口から荒い息を漏らしてアキラは力のない目でユン先生を睨んだ。
ユン先生はニコニコしながら手の中の高まりを宥めるように撫でている。
「君は本当に感じ易いんだね。」
先生は前が開いたアキラの制服の中のシャツをたくしあげた。
局部への刺激でうっすら赤みが浮き上がった腹部と胸があらわれる。
先生は両手でアキラの脇を摩りあげ、胸の両脇で手を止めると親指で両方の乳首をくすぐった。
「ふんっ」とアキラの喉から息が漏れて一瞬胸が仰け反る。
軽く指の腹を触れさせてくるくると円を描くように愛撫する。
ほんの僅かばかりの突起に過ぎなかったその部分は直ちにハッキリとしたパーツとして
主張するように形を整え窓からの光にくっきりと陰影を映し出した。
先生はそこにも時間をかけて摘み、捏ねるといった刺激を十分に与えた。
(9)
最初ぞくぞくするような感触が走ったが、その後はだんだん擦られる痛みが先行するようになって
アキラは眉を潜めて身を振った。
「続きは後でしよう」
先生は再びアキラの膝の間に手を戻し、愛液でまみれてひくつき、さらなる刺激を求める
アキラのペニスに軽く触れた。
だが先生の指先はその下の更に奥の方へと滑り込んだ。
「ふっ!」とアキラが腰を浮かしてその指から逃げようとした。
愛液を絡め取った指先が肛門の皺の隙間に侵入して来たからだった。
ささやかな抵抗をあざ笑うように指は少しずつ体内へと進んで来る。
第二関節程度まで入り込んで指は一旦引き抜かれた。
ホッとしたようにアキラは体の力を抜いた。だが先生は新たに指先でペニスの先端に触れる。
「どんどん溢れてくるよ、塔矢」
言葉で辱め、再び指をアキラの奥に埋める。さっきより奥に侵入した指は内部の具合を丹念に探る。
片手でそうやってアキラを嬲りながら先生は片手で机の抽斗から何かを取り出した。
親指程のその物体はピンク色をしていてコードのような細いヒモが繋がっている。
先生はその物体を口に含むとだ液で濡らした。
「本当ならキミの口で準備したかったところだけどね。」
アキラは何をされるのかを感知して首を横に振った。
先生は肛門から指を抜くと代わりにそれを押し当て、アキラの内部に潜り込ませた。
冷たい硬質の物体が奥深くに設置される感触にアキラはびくびくと体を震わせた。
(10)
「熱いね、君のここは。今にもっと熱くなってくるよ。」
先生はもう一つ抽斗から今度は褐色の物体を取り出した。
それにはコードも何もついていなかった。先に中に入れたピンクのものより少しだけ長いものだった。
それで栓をするように肛門の中に埋めた。腸の中に異物が深々と挿入された痛みと衝撃で
アキラはじっとりと額に汗を滲ませていた。
そうしてユン先生はアキラの下着とズボンを整え、濡れそぼってまだ熱を持って勃ち上がっている
アキラのペニスを閉じ込めるように戻してファスナーを閉め、ベルトの金具をはめた。
中のシャツをおろし制服の前も全て閉じた。乱れかかったアキラの髪も手で整える。
後ろに倒されていた背もたれを少し起こした。上半身が起き上がって腰に体重がかかり、
腸内の物がさらに深く突き上がって来るようでアキラは呻いた。
そうして先生は、コードの途中にあるスイッチを入れた。
「ふ……んっ!」
ウィ…ンというモーター音が静かに響く。腸内を柔らかで機械的な振動が走る。
それは接している栓代わりの張り型にも伝わって出口近くまで切ない刺激をアキラに与えてくる。
「ん…ん…ん…っ!!」
アキラは声が出せないまま必死で先生に救いを求める。
「私はこれから職員会議があるのでね。ここで座って待っていて欲しい。桜でも見ながら」
涙を滲ませて懇願するようなアキラの視線を残して先生はその部屋から出ていき、外から鍵をかけた。
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