トーヤアキラの一日 6


(6)
いつもの父親の場所に座っているアキラは、いつものアキラの場所で胡座をかいて食事をして
いるヒカルを見詰める。最初は嬉しそうに見ていたアキラだったが、その瞳は徐々に鋭さを
増して行き、獲物を狙う獣の目に変っていた。
ヒカルがパンをかじって顎を動かして噛み砕く。それを、ミルクをたっぷり入れたコーヒー
で飲み込む。その時に動く喉仏を見た時、我慢できなくなったアキラは、突然右手でヒカルの
左手の手首を掴み、引き寄せながら、腰を浮かして右膝を移動させてヒカルの横に素早く動く。
驚いてアキラを見上げるヒカルを押し倒して上にのしかかった。
「なっ!何だよ!」
倒されたヒカルは非難するようにアキラを見ながら抵抗する。
ヒカルの右手首も左手で掴み取って、アキラはヒカルの喉に思い切り吸い付いた。
「や、やめろよ!!」
そうヒカルが叫ぶと、アキラの唇に触れている喉仏が動く。
「進藤、君が好きだ・・・・しんど・・・」
そう切羽詰った声で囁きながら、首筋から顎を掠めてヒカルの唇を捕らえる。
最初は驚いて抵抗する様子を見せたヒカルだったが、アキラの欲している物がキスだと分かると
力を抜いて自分から唇を開いてアキラを受け入れた。
ミルクコーヒーの味がする口腔内を思い切り弄る。ヒカルの舌を吸い上げ味わう。
クチュ、という音が静かな部屋に響き渡る。その音を聞きながらさらに気持ちは昂ぶって行く。
最初はいつもと同じように口腔内を貪っていたアキラだったが、左手をヒカルの右手首から
頭に持っていくと動かないようにしっかり押さえつけた。
次の瞬間、口を大きく開けてヒカルの口を覆い、出来るだけヒカルの奥深くに舌を伸ばす。
「う・・ぅ・・」
苦しそうに呻きながら、頭を動かそうとするヒカルだったが、アキラに押えつけられていて
動く事が出来ない。アキラの舌を押し戻そうともするが、上からの圧力の方が強くてうまく
舌が動かせない。



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